2005 Fiscal Year Annual Research Report
静脈グラフトにおける遠隔期リモデリングの病態生理の解明と長期開存に向けての試み
Project/Area Number |
16390391
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 啓之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70197466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 淳一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (90313858)
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Keywords | 静脈グラフト / 高コレステロール血症 / ウサギ |
Research Abstract |
ウサギの頸動脈を外頸静脈に移植する実験モデルを用いて、静脈グラフトの遠隔期期開存率,高コレステロール血症の影響について検討した.術後8週後の開存率は正常コレステロール血のウサギでは80%の開存率が得られたのに対し,高コレステロール血症のウサギにおいては,38.5%と有意に低値であり,高コレステロール血症が明らかに遠隔期の開存率を低下させる要因である事実が明らかとなった.その閉塞グラフトについて病理形態的解析を行うと、内膜内に集積した泡沫細胞の付近からの血栓形成が内腔閉塞につながっている可能性を示唆する所見が得られた.高コレステロール血症のウサギの開存グラフトにおいても,内膜直下に集積した小さな局所的泡沫細胞の集積したプラークに一致した内腔に壁在血栓を形成している像が認められた.これらの結果から,静脈グラフト閉塞の病態生理として,高コレステロール血症によって誘導された泡沫細胞の集積した不安定プラークの破錠,それに伴う血栓形成がグラフト閉塞の要因として重要であることが示唆された.現在,これらの不安定プラークの易血栓性について,Tissue factorなどの免疫組織染色による解析を進めている. また,泡沫細胞浸潤を抑制する可能性の期待されるACAT阻害剤の静脈グラフトへの効果についても、高コレステロール血症のウサギを用いて検討した.結果として,ACAT阻害剤投与により泡沫細胞浸潤を抑制される傾向を認めたものの,内膜内に多くの泡沫細胞浸潤を認め,非投与群のウサギに比し泡沫細胞の占領面積に有意な差は得られず,開存率にも有意な差はなかった.よって,ACAT阻害剤の効果については,少なくとも本実験モデルでは,明らかな静脈グラフト閉塞を予防する効果を認めなかった.
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