2004 Fiscal Year Annual Research Report
吸収性ハイドロゲルと血管新生因子を用いた虚血心筋に対する冠動脈再生療法の研究
Project/Area Number |
16390393
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田中 國義 福井大学, 医学部, 教授 (70144251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 偉 福井大学, 医学部, 助手 (80362044)
野一色 泰晴 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60033263)
藤林 康久 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50165411)
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Keywords | ハイドロゲル / 血管新生 / 遺伝子治療 / 遺伝子除放 / 血管システムの再構築 / キトサン |
Research Abstract |
私たちはこれまでにプラスミドベクターに組み込んだ血小板由来内皮細胞成長因子(PD-ECGF)のcDNAを動物の心筋に直接投与することにより、血管新生促進、心筋細胞のapoptosis抑制、血管平滑筋細胞の増殖抑制等の効果を確認している。一方、共同研究者の野一色は吸収性ハイドロゲルの紐を心筋内に挿入することにより短期間の内に人為的に内皮細胞で被われた内径1〜3mmの細動脈レベルの心筋内管腔を創生することに成功している。上記の二つの新しい技術を併用し、心筋内に新たに本来の冠動脈に直接繋がる機能的な血管システムを自由に再構築し、虚血性心疾患に対する新たな治療法を開発することを目的として本研究に着手した。まず至適なハイドロゲルを見出すために、ヒアルロンサン、アルギンサン、ポリエチレングリコール、キトサンなどを用いて犬の皮下或いは心臓にこれらを挿入して、管腔の形成、ゲルの吸収状態、周囲組織における反応などを検査した。ヒアルロンサン、アルギンサン、ポリエチレングリコールを比較すると、ヒアルロンサンが最も細胞反応が少なく、効率よく管腔を開存させたが、安定性にまだ解決すべき問題点が残されている。また、ヒアルロンサンはマイナス電荷のため、遺伝子を徐放させるための工夫を要することが判明した。しかし、キトサンはプラス電荷を持っているため、キトサンゲルは電荷の相互作用により遺伝子を簡単に取り込むことが明らかとなった。In vivoにおいても、遺伝子を取り込んだキトサンハイドロゲルを犬の心臓に注入すると、ゲル周囲の心筋に強い遺伝子の発現が確認された。問題点はキトサンが生体内で容易に分解されずに強い組織反応を惹起し、治療効果に影響を及ぼすことが懸念される点である。この問題を解決するために、現在キトサン分解酵素であるキトサンナーゼ遺伝子を入手し検討をおこなっている。一方、線維芽細胞成長因子(FGF)を用いるとプラス電荷のためゲルに取り込ませることが可能で、犬の皮下に注入すると強い血管新生反応がおこることが確認された。現在、心筋における作用を検討中である。
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Research Products
(1 results)