2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経膠腫における活性酸素種生成酵素(NOX)の発現意義
Project/Area Number |
16390412
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
庄野 禎久 九州大学, 大学病院, 助手 (00346793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 富男 九州大学, 医学研究院, 教授 (10134561)
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Keywords | グリオーマ / 神経上皮性腫瘍 / Nox4 / NADPH oxidase / 免疫染色 / RT-PCR / Real time PCR / 悪性グリオーマ |
Research Abstract |
昨年度の研究では、神経上皮性腫瘍120例でNox4の発現を免疫組織学的に検討し、ほとんどすべての症例で腫瘍細胞に抗Nox4抗体による特異的な染色が認められることを確認した。しかし腫瘍の悪性度とNox4の発現に関連があるか不明瞭であった。 本年度はまず悪性グリオーマや髄芽腫の培養細胞から抽出したTotal RNAを用いてRT-PCRを行い、これらの細胞でのNox1-5mRNAの発現を検討した。その結果、Nox4のみが悪性グリオーマに特異的に発現している事が確認できた。その他のNoxファミリーは全く発現が認められなかった。そこで悪性度の異なるグリオーマの40症例の手術標本(WHO grade 2;diffuse astrocytoma、grade 3;anaplastic astrocytoma、grade 4;glioblastoma)からそれぞれTotal RNAを抽出し、real time PCRを用いて定量的にNox4 mRNAの発現を検討した。その結果、腫瘍の組織学的悪性度が増し、gradeが上昇するのに比例して、Nox4 mRNAの発現が増加している事が確認できた。さらにこれらのグリオーマ40症例で、Nox4mRNAの発現が高い群と低い群に分けて患者の生存期間を検討したところ、Nox4mRNAの発現が高い群では有意に患者の生存期間が短い事が判明した。以上の結果より、Nox4の発現がグリオーマの悪性化や、治療抵抗性につながっている可能性が示唆された。現在、悪性グリオーマの培養細胞において、Nox4発現をRNA干渉法にてノックダウンすることで起こる悪性グリオーマ細胞の変化(細胞増殖抑制や形態変化)についてさらに解析を進めている。
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