2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経線維腫症原因遺伝子群を介した腫瘍抑制機構解明と分子治療戦略の開発
Project/Area Number |
16390413
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 令江 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (80253722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐谷 秀行 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80264282)
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Keywords | NF1 / NF2 / 神経線維腫症 / 腫瘍抑制遺伝子 / Merlin / Neurofibromin / プロテオミクス / SiRNA |
Research Abstract |
神経線維腫症(neurofibromatosis : NF)は、全身の皮膚に多発性結節と色素斑を伴う遺伝性疾患である1型(NF1)、及び類似した皮膚症状に加え中枢神経系腫瘍を高頻度に伴う2型(NF2)の2つのタイプに分けられる。NF1は17番染色体長腕の異常に連鎖し、皮下の多発性神経線維腫、皮膚色素斑などに加え線維肉腫、グリオーマなどの悪性腫瘍を伴う頻度が高いのに対して、NF2は22番染色体長腕の異常に連鎖し、両側聴神経鞘腫、多発性髄膜腫などの頭蓋内良性腫瘍をほぼ必発することを特徴とする。本研究では、NF1及びNF2の病態発症メカニズム解明と治療ターゲットの開発を目的として、それぞれの原因遺伝子産物;NF1蛋白(Neurofibromin),及びNF2蛋白(Merlin)の細胞内機能に関連する特異的シグナルを明らかにし、遺伝子異常や欠失による両NF蛋白質の機能破綻が導く細胞の異常と病態との関連について検討した。それぞれの分子のSiRNAによる細胞内ノックダウンを行い、細胞の形態変化の詳細とプロテオミクスの手法によるシグナルキャスケードの変化を解析したところ、両分子SIRNAの作用によって細胞内actin stress fiber、focal adhesion spot、ruffling形成能の大きな変化が認められ、細胞骨格系のダイナミックなreorganizationが起こっていることが判明した。これらの変化には細胞刺激因子や接着因子からの刺激を介して、特にNF1に関してはRas-MAPK及びPI3Kシグナル、Rho-Rock-LIM kinase-coffilinシグナル等の細胞の骨格形成に関連する分子の機能制御によって運動能を調節する機構があることが判明した。又、NF2においては細胞接着や骨格系のみならず、細胞の核内においても転写や細胞死に関わる可能性から、細胞の増殖抑制や生理的アポトーシスの破綻に関連することが判明した。NF1とNF2は病態が一部重複することから、細胞内において、NF1及びNF2蛋白質は細胞内シグナルを共有している可能性がある。現在プロテオミクスの手法による、両分子の結合蛋白質群を介したシグナル解析を行っている。
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Research Products
(8 results)