2006 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウイルスを応用した脳神経疾患に対する遺伝子治療
Project/Area Number |
16390418
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Research Institution | National Institute of Neuroscience, National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
岡田 尚巳 国立精神・神経センター, 神経研究所遺伝子疾患治療研究部, 室長 (00326828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部内科学講座, 教授 (30137707)
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Keywords | 遺伝子 / ウイルス / 脳神経疾患 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
非病原性のアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターは、頭蓋内での炎症反応も起こしにくく、神経組織や筋肉などにおいて、単回の投与で長期間安定した発現が可能である。本研究では、脳神経疾患への臨床応用をめざした次の研究段階として各種血清型AAVを用い、併用薬剤を用いた遺伝子発現増強効果、発現制御システム、およびベクターの筋注による蛋白質補充療法の効果を検討した。 1 ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を用いた遺伝子発現増強 腫瘍細胞の系で確認された遺伝子発現増強効果をさらに詳細に解析し、薬剤投与の至適条件と作用機序を検討した。また、マウス皮下腫瘍モデルを用いてHSV-tk/GCV治療を行い、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤としてFK228を併用し、遺伝子発現増強効果と抗腫瘍効果の増強作用を証明した。 2 各種血清型AAVベクターと変異rtTAを用いたtet-on遺伝子発現制御系の検討 AAVベクターを用いて、引き続き内耳における遺伝子発現様式と神経栄養因子を用いた治療効果を検討した。副反応への対策として、変異rtTAを用いた発現制御型GDNF発現ベクターを構築した。これらの治療ベクターをラット蝸牛に注入し、生体内での治療タンパク質発現制御と、アミノグリコシドによる内耳有毛の細胞死を抑制する効果を証明した。 3 抗炎症性サイトカインの体内発現による動脈硬化の治療 脳卒中易発症高血圧ラットにIL-10発現ベクターを筋注し、持続的体内発現による治療効果を引き続き検討した。血圧、脳卒中スコア、炎症性サイトカインの発現、マクロファージの浸潤、および腎機能を経時的に測定し、遺伝的素因を有する高危険因子群における脳卒中の発症予防効果を考察した。また、IL-10による降圧の機序を解明するため、血管拡張因子であるNOやCOの合成酵素の発現変化を解析した。
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Research Products
(7 results)