2006 Fiscal Year Annual Research Report
髄液微小循環動態の解析と"閉塞性水頭症"の細分類及び神経内視鏡手術適応の検討
Project/Area Number |
16390421
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Research Institution | Jikei University |
Principal Investigator |
大井 靜雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30194062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 雄一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60345824)
森 宏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70291359)
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Keywords | 進化論 / CSFダイナミクス / 神経内視鏡下脳室開窓術 / major and minor pathway / 年齢差 / V-Pシャント |
Research Abstract |
頭蓋内の脳室/髄液循環路を主体とした形態変化の描出は、より精密なsteerable endoscopeによるリアルタイムの多角度からの分析によってきわめて良好になされるようになった。私どもの過去の研究においては、多彩な水頭症病態の中で、果たしてどの症例に神経内視鏡手術の適応があるのか、根底にある病態はどのような変化をもって治療しえるのか、などの問題を主眼に特に、幼若脳においては髄液主循環路の髄液循環は未発達であり適応には限りがあることを結果として示してきた。 本研究の目的は、幼若脳における特異的脳脊髄液(CSF)ダイナミクスの分析によって「非交通性水頭症」の治療中における内視鏡下脳室開窓術の無効例の根本的な病態生理を検討することである。水頭症の新生児および乳児を対象としてプロスペクティブ分析を実施した。これらの患児には磁気共鳴画像(MRI)の第一印象として非交通性水頭症の疑いがあったため、手術の前に、シネモードMRIによるCSFダイナミクスCT、脳室・大槽造影検査が行われた。幼若脳における水頭症に対する治療法である「神経内視鏡下脳室開窓術の無効例」には個体の成熟プロセスにおいて、主要CSF経路が発達していない段階ではminor pathway(副循環路)が重要な役割を果たしているという特異的CSFダイナミクスに依存しているものと思われる。すなわち、動物に認められるminor CSF pathway(副循環路)優位の幼若脳の"Minor Pathway Hydrocephalus"(「副循環路水頭症」)から成熟したヒトの脳に至ってmajor CSF pathway(主循環路)が完成される進化プロセスに基づいて、CSFダイナミクスが発達しているとする「CSF循環動態における進化論」を新たに提唱した。
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