2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト滑膜肉腫癌遺伝子SYT-SSXの分子生物学的解析と治療法の開発
Project/Area Number |
16390426
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 伸哉 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70261287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤城 剛 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, 分子腫瘍学研究部, 副部長 (90184077)
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Keywords | 滑膜肉腫 / 軟部腫瘍 / SYT-SSX / senescence / p21WAF1 |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究はヒト若年者に発症する悪性軟部腫瘍である滑膜肉腫の発生メカニズムを明らかにし、なおかつ治療法の開発を試みるものである。具体的には原因キメラ遺伝子SYT-SSXの機能解析を行う。 【方法および成果】 平成17年度の研究により、SYT-SSXとクロマチンリモデリング因子が実際に結合していることをMALDI-TOF-MASS解析にて証明した(投稿準備中)。この結果を受けて現在はSYT-SSXとヒストン蛋白との結合の有無を検討し、HistonH2Aのある1つのサブタイプとが結合する事を見出した(投稿準備中)。また、SYT-SSXの癌化能を検討する過程において、SYT-SSXの細胞内発現は細胞老化premature senescenceを誘導することが示された。このSYT-SSXの細胞周期停止にはp21の誘導が関与することが判明し、なおかつSYT-SSX依存性のp21の発現にはp53は無関係で、転写因子Sp1が必要であることが示された(Tsuda, M.,et al.,Oncogene,2005).また、現在、SYT-SSXによって誘導された滑膜肉腫細胞はHGF反応性に増殖することが示されており、我々はそのメカニズムを検討したところ、シグナル伝達アダプター分子CRKが癌化に必要であることが示された。特に大腿部への腫瘍細胞の注入を行ったところCRKノックダウン細胞ではほとんど目立った腫瘤形成は見られなかった(Watanabe, T.,et al.submitted)。来年度はp21の誘導を利用した腫瘍増殖抑制およびCRKのシグナル伝達を抑制する薬剤開発を試みたい。
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Research Products
(9 results)