2004 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の活性化、アポトーシスにおける低分子量G蛋白の役割に関する研究
Project/Area Number |
16390432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 匠 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90338385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50282661)
織田 弘美 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60101698)
原 由紀則 東京大学, 医学部附属病院, 医員
石山 典幸 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60376481)
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / 破骨細胞 / アデノウイルスベクター / Rac1 / アポトーシス / 骨吸収 |
Research Abstract |
今年度はまず、主要なRhoファミリー低分子量Gタンパク質であるRhoA、Rac1、Cdc42のドミナントネガティブ型変異体(DN)のアデノウィルスを作製し、それぞれの低分子量Gタンパク質の破骨細胞の生存、活性における役割を検討した。先行研究の結果と同じく、RhoA、Rac1の活性を抑制すると、共存培養によって形成された破骨細胞の骨吸収窩形成は著明に減少したが、さらにRac1の機能抑制では破骨細胞の生存も抑制され、ウエスタンブロッティングでも切断型Caspase-3のが増加していた。アポトーシスの促進を示唆するこの効果はRac1^<DN>に特異的であった。そこで、さらにRac1が関わるシグナル伝達の経路に着目して実験を進めた。破骨細胞に対して最も強力な抗アポトーシス作用を持つM-CSFの投与は速やかにRac1を活性化した。また、M-CSFの添加により破骨細胞の生存は促進されたが、Rac1^<DN>の過剰発現により、この生存促進効果はほぼ完全に打ち消された。次にMEK1の選択的阻害剤であるPD98059、PI-3'キナーゼの阻害剤であるワートマニン、LY294002、PI-3'キナーゼの下流のmTORの阻害剤とされるラパマイシンを用いて実験を行った。恒常活性型Rac1は著明に破骨細胞生存を促進し、PD98059はこれを抑制する傾向はあったが、有意差はなかった。一方PI-3'キナーゼ阻害剤である、ワートマニンとLY294002は共に完全にこれを抑制した。ラパマイシンでも同様の傾向が見られた。以上の結果からRac1による破骨細胞の生存促進のシグナルにはMEK/ERKの経路よりもPI-3'キナーゼ/Aktの経路がより大きく関与することがわかった。
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