2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷による瘢痕形成の制御を目指したターゲット分子特定への網羅的アプローチ
Project/Area Number |
16390433
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center |
Principal Investigator |
山本 真一 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系障害研究部, 主任研究官 (30282560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50282661)
星地 亜都司 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70236066)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
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Keywords | 脊髄損傷 / オリゴデンドロサイト / 前駆細胞 / 初代培養 / 分化制御 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
現在、損傷脊髄内で神経再生を阻んでいる主要要素の一つに破壊された局所に形成されるグリア瘢痕が含まれることが知られている。このグリア瘢痕の主成分はアストロサイトと線維芽細胞、さらに細胞外基質である。脊髄とよく比較され、再生能力が旺盛な末梢神経ではこのような瘢痕が形成されず、髄鞘形成細胞であるシュワン細胞が増殖して損傷部を充填し、その中を再生軸索が進んでいくと考えられている。そこで、本研究では脊髄でこのグリア療痕形成の問題を解決する方法として、(末梢神経のシュワン細胞に相当する)中枢神経の髄鞘形成細胞オリゴデンドロサイトの増殖を誘導して組織を安定化するアプローチをまず検討した。 まず、ターゲットとなるオリゴデンドロサイトの初代培養系の確立に成功し、in vitroで細胞機能の解析が可能となった。次いでオリゴデンドロサイトが十分な増殖因子存在下で未分化形態を維持し、増殖することに着目した。細胞の機能制御には分化の誘導あるいは未分化の維持をコントロールする必要があるが、これまで細胞増殖と未分化維持とを別個に研究した報告は少ない。我々は増殖因子シグナルの下流に細胞の未分化維持機構があると考え、細胞周期制御因子CyclinD1に着目した。CyclinD1及び、その変異体の機能解析を培養系への遺伝子導入によって行った。その結果、CyclinD1分子は細胞周期とは別経路で未分化維持に寄与していることが明らかとなった。今後、この知見を実験動物の精髄損傷モデルに導入しグリア廠痕形成への影響を検討する。 さらに他の未分化関連因子を網羅的にスクリーニングするために、確立したオリゴデンドロサイト初代培養系を利用しDNAマイクロアレイによる解析を行った。その結果未分化オリゴデンドロサイト特異的な分子を多数同定することができた。今後個々の分子の機能解析を行っていくこととなる。
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