2006 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺傷害における細胞傷害および修復メカニズムの検討
Project/Area Number |
16390457
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 悟 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (90167578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志馬 伸朗 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (00260795)
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (60347466)
上野 博司 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (20381965)
石坂 彰敏 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (90176181)
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Keywords | ラミニン / ATP / 急性肺損傷 |
Research Abstract |
敗血症性ARDSと診断され、24時間以内に集中治療室に入室した患者を対象に発症後、1,3,5、7日に気管支ファイバースコピーを施行し、気道内観察、培養検体採取、気道内分泌物除去などの通常治療とともにマイクロサンプリング手法を用いて肺上皮被覆液の微量採取を行った。施行にあたってはSteinbergらの肺胞洗浄に関する適合クライテリアに合致し、かつ家族からの承認が得られた場合に採取を行った。27例のARDS症例(入院後死亡例8例、生存例19例)および健常成人15例からの血漿検体、またARDS全例からはELFをマイクロサンプリング法にて採取した。得られた検体を対象にLN5γ2鎖分解物の濃度測定を施行した。健常人血漿中濃度は60.6±23.1ng/mLで、ARDS患者群においては入院初日血漿中濃度は生存症例で158±89.2ng/mL、死亡症例では250.9±130.9ng/mLと予後不良症例で統計的に有意に高値であった。また、ARDS患者群ではELF中においても血漿濃度を上回るLN5γ2分解物濃度を検出した。以上より本マーカーは肺胞隔壁の基底膜再構成の鋭敏な指標となりうると考えられた。 一方基礎実験では遊離ATPにおける肺損傷に関して、マウスを用いた基礎実験を行った。ATP受容体の発見以来、細胞間情報伝達物質としての遊離ATPに注目が集まっている。まず我々は強制換気によって肺胞洗浄液中のATP濃度は増加することを確認した。次にマウス気管内にATPを投与しその影響を検討した。100mM ATP投与群ではあきらかに肺の乾湿重量比などが上昇し肺に損傷が生じていることが明らかとなった。それに対してATP受容体アンタゴニストであるPPADSを同時投与した群ではあきらかに損傷は軽減した。以上より細胞外ATPはATP受容体を介して炎症反応を惹起し、急性肺損傷を引き起こすと考えられた。
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