2005 Fiscal Year Annual Research Report
泌尿器系癌におけるNFκBの病態生理学的意義と新規NFκB阻害剤の有用性の検討
Project/Area Number |
16390469
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90101956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (10167546)
大東 貴志 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80185371)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00213885)
宮嶋 哲 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90245572)
梅澤 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70114402)
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Keywords | 前立腺癌 / IL-6 / STAT3 / NF-κB / 悪液質 |
Research Abstract |
IL-6などのサイトカインは癌の増殖ならびに悪液質への関与が示唆されており、またIL-6の産生はNF-κBにより調節されている。一方、癌の増殖においてIL-6によるSTAT3のリン酸化が関与していると考えられている。根治的前立腺全摘術が施行された前立腺癌組織内のSTAT3のチロシンリン酸化を免疫組織学的に解析し、その臨床病理学的な意義につき検討した。92例中66例が病理学的に限局性前立腺癌であった。p-STAT3の発現とGleason scoreや病理学的病期との間に有意な関連性が認められた。また、p-STAT3の高発現群では術後5年でのPSA再発率が有意に高かった。活性化型STAT3が前立腺癌においてinvasivenessやaggressivenessに関与していること示唆された。基礎的検討において、IL-6を産生している前立腺癌由来細胞株であるJCA-1細胞をヌードマウスの背部に移植すると、血中IL-6値が上昇するとともに体重減少などを示し、悪液質に陥ることを認めた。NF-κB阻害剤であるDHMEQの存在下にJCA-1細胞を培養したところIL-6の産生が抑制された。上記のJCA-1担癌ヌードマウスにDHMEQを連日腹腔内投与し、血中IL-6値ならびに悪液質に対する効果を検討した。DHMEQ投与群では体重が28.2±1.4gであり無治療群(24.1±1.6g)に比べ体重減少がほとんど認められなかった。DHMEQ投与群の腓腹筋重量(499.3±30.3mg)および精巣上体脂肪重量(197.1±31.7mg)はそれぞれ無治療群(306.3±24.5mg、117.1±19.1mg)に比べ有意に重い値を示した。以上の結果より、基礎的検討においてNF-κB阻害剤であるDHMEQはIL-6の産生を抑制し、悪液質の進行を抑制することが示唆された。
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Research Products
(2 results)