2006 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤におけるIgG輸送の鍵となるII型Fc受容体を含む新しい細胞内小器官の解析
Project/Area Number |
16390479
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
瀧澤 俊広 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (90271220)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 俊行 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (60188175)
後藤 忠 日本医科大学, 医学部, 助教授 (50049855)
石川 朋子 日本医科大学, 医学部, 助手 (70212850)
森 美貴 日本医科大学, 医学部, 助手 (00277576)
石川 源 日本医科大学, 医学部, 助手 (20287767)
|
Keywords | ヒト胎盤 / IgG / 血管内皮細胞 / IIb型Fc受容体 / 細胞内輸送 / プロテオミクス解析 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
妊娠後期胎盤においてIgGが胎盤関門(絨毛栄養膜および胎児血管内皮)を通過する際、栄養膜では胎児型Fc受容体を介して輸送されると考えられている。しかし、胎児血管内皮におけるIgG輸送機構の詳細は不明のままである。この基盤研究により、我々が新たに見出した胎児血管内皮細胞中の輸送体(II型Fc受容体を含む小胞)の分子解剖学的特徴付けを行った。 細胞内小胞輸送の観点からRab蛋白の検索を進めるために、胎盤より分離した胎盤血管内皮細胞と臍帯静脈内皮細胞を用いてマイクロアレー解析を行った。この解析により胎盤血管内皮細胞にのみ優位に発現している幾つかのRab蛋白(Rab20,23,33,and 38)を同定した。このRab蛋白が、血管内皮細胞中のII型Fc受容体を含む小胞と関連しているか、または、他の小器官と関連しているのか、免疫組織化学解析、Western blot解析、免疫沈降解析等を用いて進めた。 新規作製したIIb型Fc受容体細胞質ドメインに特異的に結合する抗体を用いて、IIb型Fc受容体-小胞のみを効率的に濃縮単離することに成功した。この小胞をプロテオミクス解析することにより、この研究の大きな課題であったIIb型Fc受容体-小胞を構城している分子として、Rab蛋白(Rab11)、CD59等の分子を同定した。さらに、驚くべきことに、胎児型Fc受容体もこの小胞に存在することを発見した。このことは、絨毛栄養膜だけでなく胎児血管内皮細胞においてもIgG輸送に胎児型Fc受容体が関与していることを強く示唆しており、2つのFc受容体がどの様にIgG輸送機構に関与しているのか、また、胎盤の生殖免疫系でどの様な役割を果たしているのか、新たな研究の展開が期待される。今後、GFP遺伝子導入技術を用いたバイオイメージング解析を含め、さらなるIgG輸送機構解明が課題として残された。
|
Research Products
(3 results)