2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイとRNA干渉を用いた眼内血管新生の研究
Project/Area Number |
16390496
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 長久 京都大学, 医学研究科, 教授 (70211662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴間 潔 京都大学, 医学研究科, 助手 (80335265)
片井 直達 信州大学, 医学部, 講師 (10260572)
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Keywords | 未熟児網膜症 / 糖尿病網膜症 / 網膜血管新生 / クリスタリン / DNAマイクロアレイ / siRNA |
Research Abstract |
Smithらの方法によって作成した網膜血管新生モデルマウスより神経網膜を経時的に採取してRNAを抽出し、Affimetrix社製Gene chip MGU74 Av2とハイブリダイゼーションを行い、遺伝子発現の変化を検討した。この結果、合計129個の遺伝子について2倍以上の増減を認めた。発現の増加は49遺伝子に認め、80遺伝子については発現の減少を認めた。レンズ特異蛋白、すなわち、ベーターガンマクリスタリンファミリーに属するβB2クリスタリンが高度に発現することが明らかになった。この蛋白の組織内での局在を明らかにするため、生後15日(P15)のROPマウスから眼球を摘出し、免疫組織学的方法によりβB2クリスタリンの局在を検討した。このタンパク質は増殖組織に認められるglomerular tufts特異的でアストロサイトにのみ高度に発現していた。P13からP17のROPマウスから網膜を採取後、ウエスタンブロッティングによりβB2クリスタリンのタンパクレベルでの発現の経時変化を検討したところP13からP15まで発現を認めP15にピークとなっていた。 βB2クリスタリン特異的siRNAを使いβB2クリスタリンの発現抑制をモデルマウスへの静脈内注射により行いGTにおけるこの蛋白の機能を類推した。βB2クリスタリン特異的siRNAによりβB2クリスタリンは、蛋白質レベルで完全に発現を抑制された。また、生後15日において、GTの形成が約90%抑制され、P17では新生血管は約70%抑制された。さらに、無血管野は消失しそこには網膜毛細血管が再構築され網膜虚血が改善されていた。 ヒト糖尿病網膜症における新生血管にこのβB2クリスタリンが関与するかを術中に得られた新生血管増殖膜を使い検討した。10症例中8症例において新生血管周囲にβB2クリスタリンの発現を認め、RT-PCRによりβB2クリスタリン特異的バンドが6症例全てに増幅された。
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