2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子解析に基づいたサイトカイン吸着カラムによる敗血症性多臓器不全の個別化治療
Project/Area Number |
16390514
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
織田 成人 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90204205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平澤 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80114320)
志賀 英敏 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20282478)
松田 兼一 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60282480)
仲村 将高 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (30315436)
渡辺 圭祐 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (10375800)
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Keywords | 多臓器不全 / 高サイトカイン血症 / 遺伝子多型 / サイトカイン吸着 / 血液浄化法 / 個別化治療 |
Research Abstract |
本研究は、敗血症性多臓器不全へ進展する可能性の高い高サイトカイン血症ハイリスク症例を、遺伝子多型解析でスクリーニングし、これらハイリスク症例が敗血症に陥った場合は、新しいサイトカイン吸着カラムによってサイトカインを吸着除去することでseptic MOFへの進展を予防するという、個別化治療を確立することを目的としている。昨年度の研究で、高サイトカイン血症のハイリスク症例をスクリーニングするための遺伝子多型として、TNFα-308G/A、IL-1β-511T/A、IL-1ra VNTRの3つが候補として挙げられた。今年度はこれら3つの遺伝子多型を臨床例で簡便にスクリーニングするために、昨年度購入した自動核酸抽出装置を用いてRT-PCRで短時間にスクリーニングできるシステムを構築した。これにより、同意を得てから約4時間でこれら遺伝子多型のスクリーニングが可能となった。同時に、現在我々が行っているCLEIA法を用いたIL-6血中濃度迅速測定により高サイトカイン血症の程度を評価可能であるため、この値と臨床症状等を勘案し高サイトカイン血症ハイリスク症例に対する治療法を検討した。具体的には、IL-6血中濃度が低値の場合は、早期よりPMMA-CHDFによるサイトカインモジュレーションを開始するが、ICU入室時より高値を示す場合は、サイトカイン吸着カラムは未だ臨床治験段階であるため、PMMA-CHDFを2つ同時に施行するDouble PMMA-CHDFと、より膜面積の大きなPMMA膜ダイアライザーを用いる大膜面積PMMA-CHDFについてその効果を検討した。その結果、これらの治療が従来のPMMA-CHDFではコントロール困難な高サイトカイン血症に対する対策として有用であることが確認された。そして、これらの遺伝子解析に基づく個別化治療に関する研究を当大学院の倫理委員会に申請し、平成17年末にようやく倫理審査が完了し研究計画が承認された。この研究では、ハイリスク症例の高サイトカイン血症に対する治療として先に述べたDouble PMMA-CHDFを施行することが承認された。同時に、PMMA-CHDFを2台同時施行すると患者の医療費負担が層化するため、この研究に関する研究医療費を医学部附属病院に申請し、研究医療費を確保した。これにより実際の臨床研究を平成18年2月から開始できた。また、高サイトカイン血症対策としてのサイトカイン吸着カラムは、東レ株式会社との共同研究で開発したCYT-860の第2相臨床治験を行っており現在まで6例に施行しその効果を検討している。さらに、現在以前から開発に着手していた吸着剤についても、直接血液灌流で施行可能な吸着体の開発が終わり、現在in vitroの検討を行っており、次年度は動物実験に着手する予定である。
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Research Products
(5 results)