2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子解析に基づいたサイトカイン吸着カラムによる敗血症性多臓器不全の個別化治療
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16390514
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
織田 成人 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90204205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平澤 博之 , 名誉教授 (80114320)
貞廣 智仁 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (00436437)
仲村 将高 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (30315436)
大島 拓 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (50375789)
森田 泰正 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (20400971)
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Keywords | サイトカイン / 遺伝子多型 / 多臓器不全 / 高サイトカイン血症 / サイトカイン吸着 / 個別化診療 |
Research Abstract |
本研究は、敗血症性多臓器不全へ進展する可能性の高い高サイトカイン血症ハイリスク症例を、遺伝子多型解析でスクリーニングし、これらハイリスク症例が敗血症に陥った場合は、新しいサイトカイン吸着カラムによってサイトカインを吸着除去することでseptic MOFへの進展を予防するという、個別化治療を確立することを目的としている。これまでの研究で、高サイトカイン血症のハイリスク症例をスクリーニングするための遺伝子多型として、TNFα-308G/A、IL-1β-511T/A、IL-1ra VNTRの3つが候補として挙げられた。今年度はこれら3つの遺伝子多型を臨床例で簡便にスクリーニングするために、昨年度購入した自動核酸抽出装置を用いてRT-PCRで短時間にスクリーニングできるシステムを構築し、これにより同意を得てから約4-6時間でこれら遺伝子多型のスクリーニングが可能となった。また、高サイトカイン血症対策としての新しいサイトカイン吸着カラムCYT-860の第2相臨床治験を終了し、7例における有効性を検討した。この研究では、従来の治療法ではコントロール困難と思われる持続するないしは重症の高サイトカイン血症症例を対象とし、CYT-860による直接血液灌流(DHP)をIL-6の値を見ながら24時間連続施行した。その結果、平均66時間のCYT-860-DHPを施行し、血中IL-6,IL-8,IL-10のいずれのサイトカインも有意に低下した。また、臨床効果として呼吸機能(P/F ratio)の有意の改善が認められ、7例中4例を救命した。ただし、本カラムによるサイトカイン除去効果は期待されたほどではなかったため、現在さらに吸着効率を改善すべく改良を行っている。一方、高サイトカイン血症ハイリスク症例に対する現実的なアプローチとしてPMMA-CHDFを2つ同時に施行するDouble PMMA-CHDFを治療として行う個別化治療の臨床研究が倫理委員会で承認され、ようやく18年2月にスタートした。現在、高サイトカイン血症症例(IL-6血中濃度>1000pg/mL)に対して、ICU入室時にインフォームド・コンセントを得たうえで遺伝子多型解析を行い、ハイリスク症例をスクリーニングしている。これまで21例から同意が得られ遺伝子多型解析を行ったが、ハイリスクと診断された症例はまだ1例のみで、本症例では従来の治療でIL-6血中濃度は低下したため、double PMMA-CHDFは施行していない。今後も、さらに症例を積み重ねて検討する予定である。
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Research Products
(6 results)