2004 Fiscal Year Annual Research Report
HMGB1蛋白質の分泌制御機構とシグナル伝達機構および臨床的意義の基盤解析
Project/Area Number |
16390517
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
尾崎 承一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (00231233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 利博 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 教授 (90260752)
平 泰彦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (00154724)
吉田 充輝 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (20005648)
小池 薫 東北大学, 医学部, 助教授 (10267164)
井田 伸夫 東レ株式会社, 先端融合研究所, 主任研究員
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Keywords | HMGB1 / HMGB1受容体 / シグナル伝達機構 / マクロファージ / HMGB1吸着療法 / エピトープ / 肝不全モデル / 好中球 |
Research Abstract |
High Mobility Group Box蛋白質(HMGB1)は真核細胞に遍く存在する核蛋白質であるが、可溶性HMGB1は敗血症性ショックのメディエーターとしても注目されている。本研究では、HMGB1、特に可溶性HMGB1の細胞外での機能発現と各種病態における臨床的意義の解明を目的とする。本年度は、90%グリソン結紮BALB/cマウスを用いて致死性肝障害におけるHMGB1の意義を解析した。このモデルは60時間で全例死亡し、50%生存期間は30時間であった。可溶性HMGB1はマウスモノクローナル抗体と家兎ポリクローナル抗体によるサンドイッチELISAで測定した。血中メディエーターレベルはIL-6(6時間)、TNF-α(18時間)、HMGB1(24時間)の順で増加した(括弧内はピーク時間)。抗HMGB1モノクローナル抗体(FBH7)(50および100μg/マウス)をグリソン結紮直後に投与すると延命効果が認められた(Watanabe et al:J. Surg. Res. 124:59,2005)。この結果、新たに開発した肝不全モデルでは血中に放出されたHMGB1が致死過程に重要な役割を演じていることが推定された。この致死的臓器不全モデルを用いて血中HMGB1を標的とした治療法の開発に着手した。一方、実験に用いた抗HMGB1モノクローナル抗体(FBH7)のエピトープを解析し、HMGB1分子のアミノ酸残基52-56よりなる立体構造が主要エピトープであること、リンパ球由来のHMGB1にはこの構造が存在するが好中球由来のHMGB1には存在しないこと、このエピトープ特異性はヒト自己免疫性肝炎患者血清中の抗体と同様であることを見い出した(Ito et al.:J.Biochem. l36:155, 2004)。この結果は細胞毎のHMGB1の機能差異の解析にも重要な知見と思われた。
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Research Products
(6 results)