2006 Fiscal Year Annual Research Report
齧歯類切歯のエナメル上皮幹細胞と歯乳頭間葉系幹細胞を用いた歯胚の再生
Project/Area Number |
16390527
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
原田 英光 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70271210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
石関 清人 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (50057775)
藤原 尚樹 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (20190100)
鍵谷 忠慶 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (30405774)
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Keywords | Fgf10 / Fgf9 / エナメル上皮幹細胞 / 間葉系幹細胞 / apical bud / niche / 歯の再生 |
Research Abstract |
マウス形成端におけるエナメル上皮幹細胞と間葉系幹細胞のnicheの構築において、問葉系幹細胞が発現する線維芽細胞増殖因子-10(Fgf-10)とエナメル上皮が発現するFgf-9の細胞増殖因子による相互作用が重要な働きをしていることが明らかとなった.切歯形成端の前頭断連続切片ではapical bud内のエナメルノット様構造物にFgf-9の発現が観察され,切歯の持続的成長と形態を制御するための新しい組織構造を見出した.Fgf-9の機能解析に,マウス形成端由来の不死化間葉細胞を数種類作製した.この細胞に対してFgf-9は強力な細胞増殖活性を示すと同時に細胞の分化を抑制することが明らかとなった.以上から,Fgf-9が切歯形成端間葉系幹細胞の維持に働いている可能性が示唆されたが,実際にはin vitroで切歯のエナメル上皮幹細胞と間葉系幹細胞を維持するにはこれらの因子だけでは不十分であった.我々は様々な因子を検討した結果,切歯形成端の細胞をin vitroで維持する培養条件には,EGFとFGF2が必要であり,これらの因子を用いた無血清培地による不死化細胞樹立に成功した.エナメル上皮幹細胞と間葉系幹細胞の培養細胞あるいはsingle cell suspensionをコラーゲンスポンジによって再構築して,腎被膜下に移植する実験を行った結果,良好な歯の形態は作り出すことができなかった.そこで,この材料に対してEGFとFGF2を徐放するシステムを組み込みで腎被膜下に移植するとエナメル上皮の増殖を誘導するとともに切歯の歯の再生に成功した.最終的な歯の再生における形態や大きさの調整を以下にするかについては現在も進行中で今後の課題としたい.加えて,Wnt5aもエナメル上皮の増殖に重要な働きをしており,Fgf3の上流に作用している可能性が示唆された.
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