2005 Fiscal Year Annual Research Report
扁平上皮癌細胞の低酸素におけるアポトーシス回避の機序に関する分子生物学的検討
Project/Area Number |
16390538
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 哲也 高知大学, 医学部, 教授 (00200824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹部 衣里 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (40363288)
植田 栄作 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (10203431)
鎌谷 宇明 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (00315003)
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Keywords | 低酸素誘導因子 / アポトーシス / 扁平上皮癌細胞 / Akt / PI3キナーゼ / Bcl-2ファミリー蛋白質 / 放射線 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
株化口腔扁平上皮癌(OSC)細胞の抗癌剤・放射線に対する抵抗性獲得における低酸素誘導因子(HIF-1α)の関わりを検討し、以下の結果を得た。 1.HIF-1αの発現程度と抗癌剤・放射線に対する感受性との関連について HIF-1αの発現と抗癌剤(5-FU、CDDP)・γ線に対する感受性との間には負の相関が認められ、HIF-1α高発現OSC株は抗癌剤およびγ線に抵抗性であったのに対し、HIF-1α低発現OSC株はそれらに対する感受性が高く、より強くアポトーシスが誘導された。そこで、低発現株にHIF-1α発現ベクターを、高発現株にHIF-1αに対するsiRNAを導入したところ、低発現株の感受性は減弱し、高発現株の感受性は増強した。 2.HIF-1αによるOSC細胞の抗癌剤・放射線に対する抵抗性獲得の機序について HIF-1α高発現株におけるHIF-1αの標的遺伝子であるMDR1の転写活性およびその産物であるP糖蛋白質の発現は、HIF-1α低発現株のものより高く、高発現株を抗癌剤で処理した時の抗癌剤細胞内濃度も低発現株のものより低値であった。さらに、抗酸化作用を有するHIF-1αの標的遺伝子産物であるHeme oxygenase-1およびCeruloplasminの発現、さらには、抗癌剤あるいはγ線処理後の細胞内活性酸素レベルは、HIF-1α低発現株よりもHIF-1α高発現株において亢進していた。 以上より、HIF-1αは抗癌剤の細胞内濃度および抗癌剤やγ線による活性酸素産生の低下を介してOSC細胞の抗癌剤・γ線に対する感受性を低下させることが示され、HIF-1αのノックダウンによりOSC細胞の抗癌剤・γ線に対する感受性を増強させることが可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)