2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖因子の徐放化による機能性チタンインプラントの開発
Project/Area Number |
16390557
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90281162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30050058)
窪木 拓男 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00225195)
平田 伊佐雄 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40346507)
田川 陽一 信州大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70262079)
長岡 紀幸 岡山大学, 歯学部, 教務員 (70304326)
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Keywords | インプラント / チタン / 高分子 / 細胞増殖因子 / XPS / SPR / QCM / ポリリン酸 |
Research Abstract |
インプラント周囲より細胞増殖因子などの生理活性物質を徐放させるためには,担体となる生体吸収性の高分子をインプラント周囲に吸着させる必要がある。さらに,担体に用いる高分子材料は機械的性質に優れ,かつ,インプラントの母体であるチタンに強固に結合している方が望ましい。そこで,強度的に優れた生体吸収性高分子であるポリ乳酸系高分子について,低結晶性ポリ乳酸誘導体,ポリエーテルセグメントを導入した親水化ポリ乳酸,側鎖官能基導入型ポリ乳酸誘導体を合成し,チタンとの接着性を評価した。その結果,今回合成したポリ乳酸系機能性共重合体はチタン表面に対して強固な結合を得ることはできず,容易に剥離することが示唆された。また,天然多糖類であるプルランおよびその混合物は金属への接着性が良く,金属表面で強固な皮膜を形成することが報告されているが,チタン表面へは強固な結合が得られなかった。リン酸基を有する分子はチタン表面に強固に結合することに着目し,リン酸系高分子とチタンとの結合特性について評価した。ポリリン酸の吸着は0.1,1,10wt%の溶液中に24時間浸漬した純チタン表面についてXPSにて分析した。その結果,洗浄後のチタン表面にはPが検出され,ポリリン酸がチタン表面に強固に結合していることが示唆された。以上の結果を基に,本研究ではチタンインプラント表面に骨形成促進因子の吸着させる担体としてポリリン酸を選択した。ポリリン酸にて表面修飾されたチタンは負に帯電することから,等電点が約9.6であるbFGFをチタンインプラント表面に吸着させ,徐放させることにも有用であると考えられる。そこで,1wt%ポリリン酸水溶液による処理ならびに未処理チタンセンサー表面へのbFGFの吸着特性をSPRならびにQCMにて評価した。その結果,ポリリン酸前処理によってbFGFのチタン表面への吸着量が増大し,細胞増殖因子の徐放を制御できる可能性が示唆された。
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