2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌に対するタキソテールのアポトーシス誘導機構
Project/Area Number |
16390577
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
力石 秀実 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70091767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越後 成志 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70005114)
橋元 亘 東北大学, 病院・助手 (30323033)
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Keywords | タキソテール / セレニウム化合物 / シスプラチン / アポトーシス / 併用療法 / グルタチオン / 増強剤 |
Research Abstract |
タキソテール(docetaxel)の抗腫瘍効果の理論的根拠を示すために、タキソテールの口腔扁平上皮癌由来細胞株に対するアポトーシス誘導機構、主にFas/FasL(リガンド)経路の関与、ミトコンドリアの関与、カスパーゼ経路について、分子レベルで解析し、以下の結果が得られた。口腔扁平上皮癌由来株であるHSC-3株を主に用いて解析を行い。この系ではFas/FasL経路のアポトーシス・シグナルは関与せず、caspase-3,-8,-9の活性化が観察された。caspase-8の活性化はユニークであり、Fas-FasL経路非依存性に活性化され、しかもcaspase-3の下流に位置することがわかった。また、caspase-9の活性化はミトコンドリアの関与を予想させるので、ミトコンドリア機能の変化を調べた。タキソテール処理によりHSC-3細胞のミトコンドリア内に活性酸素の生成が観察され、膜電位の低下が起こった。さらに、ミトコンドリアから細胞質へのチトクロームCが放出された結果として、caspase-9が活性化されることがわかった。タキソテールのアポトーシス誘導機構の特徴をさらに理解するために、他の抗癌剤(セレニウム化合物、シスプラチン)のアポトーシス誘導機構との比較・検討を行った。カスパーゼの活性化、ミトコンドリアの関与など共通する機構も観察されたが、セレニウム化合物やシスプラチンは、異なる機構ではあるが、共にグルタチオン依存性にアポトーシスを誘導することがわかった。さらに、シスプラチンでは併用療法の観点から検討した結果、抗癌効果の増強剤としてhistone deacetylase inhibitorが有効であることがわかった。タキソテールについてもこれらの点がアポトーシス誘導機構に重要であると考えられるので、今後、検討する予定である。
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Research Products
(3 results)