2005 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞を用いた再生医学的歯周組織再生療法-実用化に向けた多施設共同研究-
Project/Area Number |
16390583
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00151803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比 英晴 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (90345885)
各務 秀明 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80242866)
山田 陽一 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (20345903)
馬場 俊輔 先端医療振興財団, 再生医療研究部, 主任研究員 (40275227)
和泉 雄一 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (60159803)
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Keywords | 再生医療 / 未分化間葉系幹細胞 / 歯周組織再生 / 臨床応用 / 実用化 / 多血小板血漿(PRP) |
Research Abstract |
昨年に引き続き、再生医療による歯周組織再生療法の検討を行った。再生医療の3要素である細胞、足場、生理活性物質には、幹細胞として未分化間葉系幹細胞(MSCs)を、足場、生理活性物質としては多血小板血漿(PRP)を用いた。この方法を注入型培養骨による低侵襲な歯槽骨、歯周組織再生療法と呼んでいる。基礎研究として、昨年、犬下顎骨臼歯に2壁性欠損を作製し、歯周病的細菌感染を起こし、注入型培養骨による歯周組織再生療法の可能性について検討を行った。その結果としてdogMSCsとPRPとの混合物(dMSCs/PRP),GTR法とdMSCs/PRPの混合(dMSCs/PRP/BM)では上皮の陥入は少なく、セメント質形成が特徴的で、対照群(フラップ手術のみ)に比べ幅の広いセメント質が観察され、天然のセメント質構造を呈する再生が得られていた。つまり、GTR法では再生されなかった有細胞セメント質も再生させることができることが明らかとなった。そこで、本年はGFPを導入したレトロウイルスをMSCsに感染させ、in vivoにて移植細胞の動態に関する評価も行った結果、再生セメント質は移植したMSCsにより再生されていることが示唆された。この成果を受け、臨床応用に向けて培養細胞の安全性についてもさらに検討を進めた。昨年、培養したMSCsは移植前においてもマイコプラズマ感染は検出されておらず、染色体異常についても、転座、欠失、重複などの異常は認められなかった。そこでさらに、安全性を確認するために、エンドトキシン試験、造腫瘍性試験を行った所、培養操作を行っても、移植細胞による腫瘍の形成(癌化)を認めなかった。この結果を受け、トランスレーショナルリサーチの概念にのっとり、臨床応用を進め、低侵襲な再生医療を確立していくことで、患者さんのQOL向上に貢献したいと考えている。来年度は多施設による臨床応用とその評価を行う予定としている。
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Research Products
(15 results)