2005 Fiscal Year Annual Research Report
感染性心内膜炎発症に関わるS.mutans菌体表層成分の分子生物学的解析
Project/Area Number |
16390605
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大嶋 隆 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (80116003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 一路 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70294113)
仲野 和彦 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (00379083)
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Keywords | 感染性心内膜炎 / Streptococcus mutans / グルコシルトランスフェラー / 血清型特異多糖抗原 / Protein antigen c / 多型核白血球 / 貪食作用 |
Research Abstract |
感染性心内膜炎患者血液より分離したStreptococcus mutansの菌体表層成分を分析すると,既知の血清型に属さない株が存在することを明らかにした.この血清型特異多糖抗原の分析の結果,ラムノース主骨格に結合するグルコース側鎖の量が著しく低下していることが明らかになり,新規血清型kとした.その後,k型S.mutansを日本人小児口腔より分離し,k型血液分離株の性状を調べると,グルコース側鎖の構成単位となるグルコースの生合成に関与するrgpE遺伝子のmRNAの低下がグルコース側鎖の量の著しい低下につながっていることが示唆された.さらに,k型株はヒト多型核白血球に抵抗する性状を有していること,う蝕原性に関してはやや低下することが示された. 次に,S.mutansの主要な表層タンパク抗原として知られている3種のグルコシルトランスフェラーゼ(GTF)およびProtein antigen c(PAc)をコードする遺伝子を挿入失活した株を用い,ヒト多型核白血球による食作用を分析すると,PAc欠失株が最も低い食作用率を呈した.また,GTFのうち水溶性グルカン合成に関与するGTFDの欠失株の食作用率も有意に低下していた.さらに,バイオフィルム形成を制御するBiofilm regulatory protein A(BrpA)に関しても分析した.BrpA欠失株ではレンサが長くなり,多型核白血球による食作用に抵抗する性状を有することが明らかになった.また,BrpA欠失株を超音波処理しレンサを短縮させた株では食作用を受けやすくなることが示された. 実際に,日本人小児口腔より分離された株を分析すると,新規血清型k型株を保有する対象は約2%であり,PAcの発現がほとんど認められない株を有する対象は約3%であった.その他の主要抗原に関しては現在分析中である.
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Research Products
(4 results)