2007 Fiscal Year Annual Research Report
根面へのBMP付着と歯根膜のスキャホールドによる歯周組織再生
Project/Area Number |
16390610
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅谷 勉 Hokkaido University, 大学院・歯学研究科, 准教授 (10211301)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土門 卓文 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50217618)
宮治 裕史 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50372256)
|
Keywords | 歯周組織再生 / BMP-2 / コラーゲン / 根面処理 / スキャホールド / 硬組織形成 / 歯根吸収 / 1壁性骨欠損 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、裂開状の骨欠損に対して根面を24%EDTAで脱灰してBMP-2を塗布し、さらにアスコルビン酸-塩化銅で架橋したコラーゲンゲルで根面を被覆することによって、歯周組織が著しく再生することが解明された。そこで本年度はさらに大きな骨欠損で効果を検討した。 ビーグル犬の下顎PlとP3を抜歯、8週後に部分層弁で歯肉を剥離してP2の近遠心およびP4の近心面に深さ5mm、根面と骨壁との距離3mmの頬舌壁のない1壁性骨欠損を作製した。実験群は24%EDTAで根面を3分間脱灰して水洗、乾燥し、1000μg/mlのBMP-2を塗布した。対照群は根面の脱灰のみを行って、歯肉弁を元の位置に縫合した。4、8週後に脱灰薄切標本を作製、HE染色を行って組織計測を行った。その結果、歯槽骨再生量は対照群32.2%に比較して実験群70.0%、セメント質再生量はそれぞれ13.4%、45.4%と、実験群で有意に多くの再生が得られ、とくに歯槽骨はほぼ健全なレベルまで回復した。さらに、従来の再生療法では残存する歯根膜や歯槽骨から連続して再生していたが、本研究では残存するセメント質とは連続しないセメント質が歯冠側に認められ、歯肉結合由来組織によるセメント質形成と考えられた。このことは、これまでにはない新たな再生メカニズムが展開していたと考えられ、現在抜歯の適応となっている歯周組織欠損が大きな歯に対しても再生可能な治療法になる可能性が示された。 しかし、きわめて一部であるが骨性癒着が認められた。これは実験に使用したビーグル犬はヒトに比較して骨性癒着が出現しやすいことが最大の原因と考えられるが、骨性癒着は長期的には置換性根吸収を引き起こし歯の脱落につながるとされていることから、今後本治療法が根吸収におよぼす影響を詳細に検討することが必要と考えられた。
|
Research Products
(4 results)