2004 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故に至る因果連鎖とその対策に関する知識の獲得と活用を実現する知識構造化研究
Project/Area Number |
16390625
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水流 聡子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80177328)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 悦功 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50017448)
棟近 雅彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10200247)
中西 睦子 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (00070681)
川村 佐和子 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 教授 (30186142)
上原 鳴夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80144286)
|
Keywords | 医療事故 / 因果連鎖 / 事故連鎖 / 知識構造 / 事故報告システム / ワークフロー |
Research Abstract |
ヒアリング調査によって、病院のリスクマネジャー数名の経験知・暗黙知から、医療事故構造に関する因子とその関連性を抽出した。次に、未然防止のために取る対応策が次のリスクを発生させるという連鎖構造に関する知識の抽出を試みた。この段階では、医療事故への対応策とその展開までの事実情報を入手する必要があり、実際の医療事故報告書から、本研究に必要とする情報を抽出することになる。その後に、これらの知識をストレス・ストレングス・モデルあるいは他のモデルで構造化して、構造化知識ベースを構築することを予定していた。しかしながら、以下の3つの課題が発生した。第一は、医療事故関連情報は、当該組織の機密情報であるため、医療組織側と研究者側との深い信頼関係と、過去の医療事故分析を研究的視点から分析することが当該組織にとって有用だと認識できない限り、一定期間の現実情報の分析許可を得ることは困難であること。第二は、知識ベース構築に必要とする情報を得るための医療事故報告書が「医療事故の未然防止に必要とする本質的に核となる知識」を抽出できるような構成とはなっていないこと(医療事故に対応する機能が不完全)。第三は、本研究で開発する知識ベースが有効に作用するための基盤となる医療事故報告システムが、医療事故の未然防止を実現するためのシステムメカニズムを有していない可能性が大きいこと。以上の課題を克服するために、2病院の協力を得て、理想的な医療事故報告システムのワークフローを検討・設計した。また、医療事故報告書の書式を設計し、事故対策の導出まで記載する新書式での報告書を設計・試用した。医療事故に対して新たに選択した対策から、次の事故連鎖が発生するリスクを抽出する支援システムの基本仕様について検討した。
|