2004 Fiscal Year Annual Research Report
反応性充血(発赤)に注目した褥瘡発生予測と新しい局所皮膚保護用具の考案
Project/Area Number |
16390637
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真田 弘美 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50143920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須釜 淳子 金沢大学, 医学部, 助教授 (00203307)
紺家 千津子 金沢大学, 医学部, 助手 (20303282)
大桑 麻由美 金沢大学, 医学部, 助手 (30303291)
北川 敦子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80343185)
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Keywords | 褥瘡 / アセスメント / 転帰 / 予測 |
Research Abstract |
この研究は褥瘡の予防、早期発見・治癒を目指して、褥瘡発生予測のパラメータをナースが臨床の場で頻繁に遭遇する反応性充血(発赤)に絞り、そのアセスメント方法と初期褥瘡を予防する局所皮膚保護用具の開発を目的とし、以下のプロセスで研究を実施している。当該年度は1について調査を行った。 1.消失する発赤と褥瘡となる発赤の違いを明らかにし、その指標を抽出する。 2.発赤の変化に影響する要因を明らかにし、皮膚保護のコンセプトを考案する。 3.考案した皮膚保護用具のコンセプトを検証する。 方法は、療養型病床群に入院中でStage Iの褥瘡が発生した患者を対象に前向きに調査した。悪化群と治癒群に分類し形態的特徴の変化をとらえ、悪化群に特有な病態を抽出した。次に悪化群に特有な病態からStage Iの褥瘡の転帰を予測した後、さらに褥瘡悪化モデルの構築を行った。 その結果、31部位中悪化群11部位、治癒群20部位であった。悪化群に特有な発赤の形態的特徴は、2重発赤、全面消退しない、骨突起部頂点から離れている、翌日拡大するのは4つであった。悪化する要因は、長時間の圧迫、行動範囲の低迷、姿勢の崩れであった。悪化群は尿・便失禁による発赤部の汚染があると有意にびらんした。 以上の結果を考察し、Stage Iの褥瘡悪化モデルの構築を行った。長時間の圧迫があると、深度組織で損傷が起こり2重発赤となる。深部組織が損傷すると血管が破綻するため全面消退しない発赤となる。そして、姿勢が崩れた状態に圧迫が加わると発赤は骨突出部頂点から離れた部位にみられる。これらの原因が継続され血流の低下が持続すると血流障害により損傷部周囲の血管径が増大し翌日に発赤は拡大する。そして失禁によって汚染する部位はびらんし、汚染のない部位は水疱形成となる。 このことから、Stage I褥瘡の経過が解明でき、転帰の予測も可能となった。また、褥瘡悪化モデルを構築したことで悪化を予防するケアの視点が明確になった。
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