2006 Fiscal Year Annual Research Report
反応性充血(発赤)に注目した褥瘡発生予測と新しい局所皮膚保護用具の考案
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16390637
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真田 弘美 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50143920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須釜 淳子 金沢大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00203307)
紺家 千津子 金沢大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20303282)
大桑 麻由美 金沢大学, 大学院医学系研究科, 助手 (30303291)
北川 敦子 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (80343185)
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Keywords | 褥瘡 / 発赤 / 看護 / 高齢者 / 寝たきり / 看護理工学 / 看護技術 |
Research Abstract |
平成18年度は、2年間の研究成果を踏まえて作成した皮膚保護用具の臨床試験を行った。本皮膚保護用具(ドレッシング材)の目的は、悪化する褥瘡の特徴であるずれの予防、および高齢者における褥瘡発生のリスクファクターである乾燥皮膚の改善である。ずれの予防には低摩擦最外層をドレッシング材に配し、また、乾燥皮膚の改善には角質細胞間脂質であるセラミドを保護材に含有させた。 臨床試験は500床を有する老人病院で行われ、合計37名の高齢者が対象となった。研究デザインは左右比較試験であり、本皮膚保護用具を各対象者の大転子部に貼付し(実験群)、非貼付部である反対側を対照部位(対照群)とした。プライマリーアウトカムを褥瘡または持続する発赤の発生率、セカンダリーアウトカムを大転子皮膚のpHおよび角質水分量とした。追跡期間は3週間とし、持続効果を見るために、プライマリーアウトカムに関してはさらに剥離後1週間追跡して調査した。なお、本研究のプロトコールは東京大学医学部倫理審査委員会の承認を得た。 本研究期間中褥瘡発生はいずれの群にも起こらなかった。持続する発赤の発生率は、実験群で5.4%、対照群で30.7%であり、実験群の方が有意に発生率が低かった(相対危険度;0.18、信頼区間;0.05-0.73)。また、皮膚pHは貼付期間中のみ有意に低下し、剥離後は元のレベルに戻っていた。角質水分量は貼付期間中有意に上昇し、その上昇は剥離後1週間でも保たれていた。本ドレッシング材に起因する有害事象は観察されなかった。 本臨床試験において、新しい皮膚保護用具の持続する発赤の予防効果が確認された。また、通常皮膚保護材貼付によって問題となる、貼付中の皮膚pH上昇を起こすことがなかった。さらに、貼付中および剥離1週間後においても角質水分量が上昇していたことから、褥瘡発生リスクである乾燥皮膚の改善が認められることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Incontinence induces stratum corneum vulnerability and impairs the skin barrier function in the perianal region.2006
Author(s)
Nakagami, G., Sanada, H., Kitagawa, A., Tadaka, E., Maekawa, T., Nagase,.T, konya,C.
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Journal Title
Dermatology 231・4
Pages: 293-299
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[Journal Article] Comparison of two pressure ulcer preventive dressings for reducing shear force on the heel.2006
Author(s)
Nakagami, G., Sanada, H., Konya, C., Kitagawa, A., Tadaka, E., Tabata,K.
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Journal Title
J Wound Ostomy Continence Nurs 33・3
Pages: 267-272