2006 Fiscal Year Annual Research Report
13世紀〜14世紀の龍泉窯陶磁技法"青磁大皿"の復元的焼成研究
Project/Area Number |
16401002
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
島田 文雄 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (90187435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊福 誠 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (30227665)
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Keywords | 陶磁技法 / 龍泉窯青磁 / 磁石 / 宋代青磁 / 青磁化学分析 / 紫金土 / 龍窯 / 耐火粘土 |
Research Abstract |
平成18年度実績 ○中国龍泉窯と東京芸術大学において13世紀〜14世紀青磁大皿の復元的制作成形・焼成実験を実施した。龍泉窯では宋代『龍泉刻花皿』元代『龍泉赭石回魚皿』の青磁大皿の制作・焼成を6月と8月に実施した。 ○8月清華大学の龍泉窯青磁片調査を実施。 ○日本・東京芸術大学では、青磁粕片の化学分析値に基づいた250種類の釉薬の調合試験焼成を4月〜7月3回、焼成実験を12月、1月に4日間80時間かけた焼成実験を2回行った。 研究成果 ○現在の耐火棚板やツクの無い時代であるので耐火粘土で窯や窯道具を作り、まず基礎レンガの上に団子状のツクを置き匣をのせ中にトチを置き、大皿を詰め匣をかぶせる。匣の上にトチと大皿を置き匣を被せ天井まで積み上げていった。窯の温度は80度くらいの上下差があり、歩留まりの悪い窯であったことが判明した。龍窯、匣、ツク等の窯道具を作る原料は耐火土であり当時最も必要とされている。龍泉窯周辺に5大耐火土鉱があることが判明した。 ○龍泉地域の磁土は未風化磁石、風化磁石がある。乾燥状態は手で粉状にすることができるくらいに軟らかく彫文に適していた。磁石は主に硅石、カオリン、雲母などが含まれていることが判明。 ○胎土、釉薬とも紫金土を使用しており青磁の発色、焼成に重大な影響を与えている。 ○胎土と釉薬の原料は全部1000度前後で焼成してから調合しておりその結果青磁釉の厚掛けによる釉のはがれなど予防していた。大変効果的な方法であると認識させられた。 ○この研究結果、龍泉窯にて青磁大皿4枚、その他青磁釉製品20点、東京芸術大学では青磁大皿10枚青磁花瓶、青磁香炉などの復元的制作を実施し焼成した。中国では素焼きで6枚割れ、日本では大皿の成形時に4枚割れ、1回目の焼成実験で1枚成功した。2回目は釉薬の流れすぎと冷め割れで失敗した。
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