2004 Fiscal Year Annual Research Report
台湾で新発見された甲骨片の謎-河南民族博物院旧蔵甲骨拓本との関係を追って-
Project/Area Number |
16401013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
東 賢司 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (10264318)
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Keywords | 国際情報交換 / 中国 / 甲骨片 / 河南民族博物院 / 殷墟 / 中華民国 / 拓片 |
Research Abstract |
本年度は、新たに入手した拓片を加え、合計約300片の拓片を整理・分析した。董作賓の分類法に従うと、甲骨は第II期のものがほとんどであり、農耕・天候等の占卜に関する資料が多い。 拓本に押される「河南民族博物院」という収蔵印は、民国17年(1928年)5月から民国19年(1930年)12月1日までの19ケ月のみ存在した博物館である。河南省政府により、その時期に殷墟で発掘作業が行われたのは、民国19年(1930年)2月〜4月(3656片)であるので、民国19年5月から11月末までの7ヶ月に採拓されたと思われる。 これらの甲骨を整理して関百益が『殷墟文字存真』(8集1集100枚)を編集、孫海波が『甲骨文録』に930片を収録したことがわかる。しかし、拓本との比較作業の結果、両書に収録されていない拓片が多く存在する事を確認、未著録の甲骨拓本と認定できる。 民国38年(1949年)にこの甲骨片は台湾へ移動している。その後国立歴史博物館の収蔵品となり、現在に至っている。台湾の調査は十分でないが、歴史博物館に収蔵の甲骨は2,764片、移動したと思われる甲骨片は3,656片であるので、その差は892片である。現在、歴史博物館において甲骨の模写など整理作業が進んでいるが、北京で取得した拓片の一部は、ここの2,764片にもふくまれない甲骨である可能性があり、歴史博物館の甲骨片を補う資料という可能性が高い。
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