2004 Fiscal Year Annual Research Report
転換期のアメリカ合衆国移民政策の社会学的分析-9.11事件以降の入管政策の強化と「非合法」移民への対応
Project/Area Number |
16402026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小井土 彰宏 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (60250396)
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Keywords | 移民政策 / アメリカ合衆国 / 非合法移民 / 国境 |
Research Abstract |
本年度は、合衆国の移民政策の転換の国境地帯への影響の現地調査と、移民政策の実施担当組織や国内規制に関する情報収集を行った。第一に、アメリカーメキシコ間の国境の管理強化が、移民の越境パターンにいかなる影響を与えるのかを解明する目的のために、サンディエゴーティファナ地域を焦点に調査を計画実施した。国境のメキシコ側の都市移動してきた移民たちが、規制強化の結果、輸出工業における工業労働者として定着しているのか、あるいは国境を越えた親族などの社会関係によって越境への傾向を維持していくのか、を調査票に基づいて最近移動してきたメキシコ人労働者に聞き取り調査を実施した。3名のメキシコ人研究補助者を同行し、労働者住宅街において対象設定と調査票の施行のために、パイロット調査を8月〜9月に実施した。これに基づき調査票を改善した上、11月から2月までに研究補助員により本調査を実施し、約300名の調査票を収集することができた。現在、この調査票はコーディング作業中であり、来年度前半はこの調査結果を基に、メキシコ人移住労働者の就労と移動の傾向とその要因を計量的に分析する予定である。 第二に、10月よりプリンストン大学社会学部と移民・開発研究所Center for Migration and Developmentで客員として研究に従事し、合衆国の2001年以降の本土安全保障省の成立に伴う規制組織の再編成の実態、国内での非合法移民への取締りの実態、ニューヨーク近郊での移民への地域住民での反応について、専門家への聞き取りと資料収集と分析を行い、平成17年度前半における現地での規制担当者や移民権利の運動家などの聴き取り調査の前提となる制度と政策に関する分析を行った。
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