2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16402026
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小井土 彰宏 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60250396)
|
Keywords | 移民政策 / アメリカ合衆国 / 非合法移民 / 国境 |
Research Abstract |
(1)4月から6月にかけて、H18年3月に合衆国における現地調査において収集した、移民運動に関連した移民関係団体のインタビューの音声・画像データを整理分析した。この上で、2005年春以降急激に活発化している移民法改正をめぐる論争について、連邦議会での議論を中心に、移民規制賛成派の保守的団体と、移民団体、人権擁護団体、移民雇用者の利益団体等の移民擁護派の団体の動きを、現地調査で収集した文書およびinternetにより収集した米国新聞記事等によって時系列的に分析した。その際、非正規移民の正規化あるいはゲストワーカー・プログラムの制度化という移民の国内での滞在・就労権の承認、国境管理政策の二側面が、保守派と中間派の問でどのように争点化したかに注目して検討した。 (2)8月から9月にかけては、2006年春の運動を主導した団体が、その後どのように運動の成果を検討し、また今後の移民政策の動向に対する戦略を構想しているかに関して、南カリフォルニアを中心に聴き取りを行った。 (3)10月以降は、第一に、連邦レベルでの移民の入国データの時系列的・国別の分析、および近年急激に地域的に分散化している新規の移民の分布状況を分析し、統計的に90年代以降のアメリカの移民状況を数量的に整理する作業を行った。第二に、移民政策の転換の影響を、異なる地域的な文脈のなかでの移民政策の影響を、1)建設業における移民労働の下請け企業での雇用と日雇い労働の拡大の傾向、2)中西部食肉産業における移民労働者と取り締まりの政治的な意味、3)多言語教育への反発の地域的な差異、の3点に関して分析し、形式的な移民管理集権化の傾向のなかで、媒介要因としての地域的権力構造の重要性が確認できた。
|