2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国の歴史的市街地・集落における持続可能な観光開発のあり方に関する研究
Project/Area Number |
16402033
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Research Institution | Kyoto Saga University of Arts |
Principal Investigator |
山村 高淑 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 助教授 (60351376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 しのぶ 東京工業大学, 学術国際情報センター, 助教授 (40345369)
藤木 庸介 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 専任講師 (70314557)
平田 隆行 和歌山大学, システム工学部, 助手 (60362860)
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Keywords | 中国 / 雲南省 / 麗江 / 世界遺産 / 観光 / 伝統的建造物 / 先住民 / ナシ族 |
Research Abstract |
昨年度の調査結果を踏まえ、中華人民共和国において世界文化遺産に登録されている歴史都市および伝統的集落の、文化遺産保存・管理ならびに観光地化のインパクトの実態を、より具体的に実証するため、平成17年度は雲南省麗江市の重点的実地調査を行った。具体的には、昨年度データ化を行った都市構造ならびに伝統的建造物の追跡調査を行い、詳細な聞き取り調査を通して、建築計測図面に社会文化的データを付加する作業を行った。また現地で保全すべき物件として政策的に指定されている「保護民居」に関して、その使用状態に関する詳細な現地調査を通し、保全状態についての分析を行った。さらに、こうした住環境以外にも、服飾文化や伝統工芸、民間伝承・宗教儀礼などの無形文化遺産の継承と観光利用実態についても多角的に情報収集を行った。その結果、観光地化を受けて、本来の形状を著しく変更している文化遺産も多く見られる一方で、一部の伝統が復活せしめられ、新たな形で進化を遂げつつあることを明らかにした。 このような調査結果を、中間報告の形で、OWHC国際シンポジウム(世界遺産都市会議。於クスコ市・ペルー)、日本建築学会全国大会、国立民族学博物館共同研究会(「遺産の所有と利用に関する観光文明学的研究」)などにおいて、口頭ならびに印刷公表の形で対外的に発表した。こうした発表を通して、国際的に第一線で活躍をしている研究者・実務者との交流が可能となり、文化遺産マネイジメントにおける各国と中国との差異と今後の課題について議論・理解を深めることができた。これらの成果は国際的にも初めて発表せられた貴重な知見として各会議において高い評価を受けた。 次年度は、前半においてさらに多角的な有形・無形の文化遺産データベースの作成を継続し、後半において、これらの研究成果を総括し、国際的な他の事例との比較を通して、新たな文化遺産調査・把握手法、文化遺産と観光の持続的マネイジメント手法について、特にアジア地域における木造建築文化圏に有用なモデルの提示を試みる。(仮にこれを麗江モデルと称したい)さらにその成果を、中国におけるワークショップならびに国内外での印刷出版として結実する所存である。
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Research Products
(7 results)