2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高エネルギー宇宙線現象解明のためのCERN LHC用ガンマ線観測装置製作
Project/Area Number |
16403003
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
笠原 克昌 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (00013425)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸川 知之 芝浦工業大学, システム工学部, 助教授 (40257225)
鳥居 祥二 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授 (90167536)
田村 忠久 神奈川大学, 工学部, 助教授 (90271361)
さこ 隆志 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (90324368)
|
Keywords | LHC / 宇宙線 / 超高エネルギー現象 / タングステン・カロリメータ / x分布 |
Research Abstract |
宇宙線超高エネルギー現象解明のため,CERN-LHCの衝突で発生する最前方粒子(ガンマ線,中性子)のx分布測定用カロリメータを開発する.本年度はCERNの加速器ビームが利用できないため,1)前年度のビームテストの結果の更なる吟味,2)18年度のビームテストおよび本番の実験用の検出器システムの開発,3)CERN LHCC委員会へのTDR(Technical Design Report), ECR(Engineering Change Request)の文書の作成,また,そのための4)検出器設置場所の確定と設置にまつわる諸問題のCERN側担当者との打ち合わせ,5)HIMACでの重粒子イオンでの較正実験,などを行った. 本番では1)のテスト実験でのエネルギーより1桁高いエネルギーを対象とするので,シンチレータ・PMT系の線形性を5桁に渡って確保する必要がある.このためにシンチレーターに減衰時間の長い(6.9ns)EJ2600を,PMTに浜松ホトニクスR7400Uを使う組み合わせを選択しテーパーディバイダーを改良した.減衰時間を長くすることでN_2レーザ光での較正がより確実なることをCERN実験とHIMACでの重粒子ビーム実験での結果で確認した.また,レーザ較正システムを作成するため,NDフィルターなどを購入した.CERN側担当者との検討の結果,これまで想定していたビームパイプの形状が実際とは異なることが判明した.このため,来年度および本実験での検出器配置を2つのタワー(42r.lのカロリメータ)を用いるものに変更した.前年度のテスト実験で判明したタングステンホルダの強度,形状問題を解決するため,よりモジュール化したホルダ構造を設計中である.これまでの3タワー構造から2タワー構造としたことにより,シンチレーティング・ファイバー読み出しのマルチ・アノードPMTに余裕ができた.これによりシャワー中心を求めるためのシンチレーティング・ファイバー層を下流に1層追加することとなった.このリダンダンシーにより,ハドロンとガンマ線シャワーの識別に,より一層確実性が増すこととなった. イタリアのフィレンツェ大学に強力な共同研究者が得られ,シリコン使用の位置敏感型検出器を用いたカロリメータをLHCビーム衝突点を挟んで反対側にも設置することとなった. TDRの作成にあたって,CERN側担当者との打ち合わせを数多く行った。これまで不明であった,ビームガスの強度分布などの詳細もわかり,それを用いた背景イベントの推定なども現実的なものが得られた. インドでの宇宙線国際会議にさこが,ギリシャでのCosmic QCDワークショップに笠原がそれぞれ出席しLHCfの講演を行った.また,17年度秋の物理学会に於いて,笠原が招待講演を行った.
|