2005 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境変動によるアジア沿岸大都市の水システムの安全性と安定性への影響評価
Project/Area Number |
16404001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝沢 智 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10206914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 久美子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00361527)
福士 謙介 東京大学, 環境安全研究センター, 助教授 (30282114)
片山 浩之 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (00302779)
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Keywords | アジア / 沿岸 / 大都市 / 水質 / 衛生 / 洪水 / 環境リスク / ベトナム |
Research Abstract |
平成17年度は、平成17年1月から2月にかけて行ったジャカルタ市を流れる最大河川のChiliwung川沿いの洪水被害地域の調査結果を取りまとめ、以下の結論を得た。 ・洪水被災地区の主な水源は浅井戸地下水であり、洪水により大腸菌などの汚染を受けていた。それに比べて、水道水質は良好であった。 ・Ciliwung川は上流から下流にかけてし尿や排水による汚染を受けており、大腸菌やウィルスの濃度が高かった。しかし、住居に流れ込んだ洪水は、そこに長時間にわたって滞留し、大腸菌などの指標微生物濃度も、Ciliwung川の濃度よりも高かった。これは、洪水によりトイレなどの汚物が流れ出している可能性を示唆していた。 ・洪水被災地域では、被害を免れた地域に比べて、下痢症などのほか、皮膚病やインフルエンザなどの羅患率が高かった。 これらの結果から、ジャカルタのような沿岸大都市における洪水は、建造物などに対する物理的な被害や、溺死などの直接的な生命に対する損害のほかにも、住民に長期間にわたる避難生活を強いるほか、健康被害も惹起していることが確認できた。 また、平成17年度はベトナム・ホーチミン市において、同市内を流れるサンゴン川流域とそこに流れ込む運河の水質及び底質の調査を行った。サンゴン川には河口堰はなく、潮位の変動を受けて流れの方向が大きく変化する。一方ホーチミン市には下水の処理施設はなく、家庭排水及び工業排水は一部簡単な処理を受けただけで市内の運河へと排出され、それはやがてサイゴン川へと流れ込む。このため、サイゴン川の水質汚濁を引き起こし、更には、潮位の変動により汚濁した水が逆流し、ホーチミン市の取水点まで到達していることが示された。また、市内を流れる運河の水も、潮位の変動に合わせて水質が変化し、特に上げ潮の時間帯には、汚濁した水が滞留するため、大腸菌やウィルスなどの汚濁が悪化することが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Monitoring of human enteric viruses and coliform bacteria in waters after urban flood in Jakarta, Indonesia,2005
Author(s)
Phanuwan, C., Takizawa, S., Oguma, K., Katayama, H., Yunika, A., Ohgaki, S.
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Journal Title
Proc. of WaterMocro05 - IWA Specialist Conference on Health-related Water Microbiology, Swansea September 2005.
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[Journal Article] Detection of Noroviruses and other enteric viruses from canal and river water in Ho Chi Minh City2005
Author(s)
Katayama, H., Haramoto, E., Dan, N.P., Takizawa, S., Thoung, N.T., Ohgaki, S.
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Journal Title
1^<st> IWA-ASPIRE Conference, Singapore, 10-15 July, 2005