2006 Fiscal Year Annual Research Report
東シベリアにおける森林火災による大気環境影響とその日本への越境大気汚染の解明
Project/Area Number |
16404007
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
村野 健太郎 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 室長 (40109905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 人史 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 室長 (30157713)
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Keywords | 東シベリア / 森林火災 / 大気汚染物質 / 越境大気汚染 / 地球温暖化 |
Research Abstract |
束シベリア地域イルクーツク市近郊のサンプリング地点において、10ライングローバルサンプラー(GS10-GP)により、暖候期に大気汚染物質(二酸化硫黄、エアロゾル)を高時間分解能(1日単位)の連続大気汚染物質捕集により測定し、その局地的な大気環境インパクトを求めると同時に、バックトラジェクトリー計算による解析により越境大気汚染として日本に及ぼす影響を明らかにする事を目的として、本年度もロシア連邦科学アカデミーシベリア支所、湖沼学研究所が大気汚染物質のサンプリングを行い、化学分析も終了した。9月下旬に日本環境衛生センター・酸性雨研究センター:大泉が訪露して、サンプリング現場を視察すると同時に研究打ち合わせを行った。 2004年及び2005年の8〜10月のガス平均大気中濃度を比較すると、全成分とも2005年に高くなった。特に、2005年のSO_2平均大気中濃度は2004年の0.4ppbに比べ2.6ppbと約6倍も高くなった。2005年のSO_2濃度は、観測期間中平均的に高かったが、一時的に高濃度を観測することもあり、10月には最大値9.5ppbを観測していた。 陽イオン及び陰イオンの割合は、2005年はやや陰イオンの割合が増加した。陽イオンでは、両観測期問ともNH_4^+及びCa^<2+>が全陽イオンの約8割を占めていた,、2004年のNH_4^+組成が2005年に比べ高くなったのは、観測期間平均濃度16.8neq m^<-3>に比べ、2004年8月に40.0neq m^<-3>以上の高濃度が4回観測されたためと考えられる。陰イオンでは、SO_4^<2->及びHCO_3^-が全陰イオンの約9割を占めていた。特に、2005年のSO_4^<2->組成は2004年の15.6neq m^<-3>から26.5neq m^<-3>と大幅に高くなっており、全陰イオンの約7割も占めていた。これは、2005年のSO_2濃度と同じ傾向を示していた。Irkutsk地方(約50〜65°N,約95〜120°E)では、2005年5月から9月にかけて森林火災が約300件報告されている。2004年に森林火災は報告されていないことから、2005年の大気中濃度の様相は大きく変化していると推測される。
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