2004 Fiscal Year Annual Research Report
初期人類と類人猿化石種における臼歯と咀嚼器構造に関する進化形態学的広域調査
Project/Area Number |
16405016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (50206596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 礼子 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (30356266)
海部 陽介 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (20280521)
近藤 修 東京大学, 理学系研究科, 助教授 (40244347)
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Keywords | エナメル厚さ / 初期人類 / 類人猿 / 化石種 / 咀嚼器 / 臼歯 / マイクロCT / 機能形態 |
Research Abstract |
初源期人類化石の系統的位置付けと適応的解釈のために、初期人類と人類に比較的近縁の中新世類人猿を対象に、臼歯と咀嚼器構造の分析調査を進めた。具体的には以下の招聘・訪問調査を実施した。 ・エチオピア国立博物館にて、初期人類の臼歯化石について自然断面上でのエナメル質厚さを記録し、マイクロウェアの印象を採取した。また、マイクロCT調査の対象標本を選定した(8月)。 ・南アフリカ・トランスヴァール博物館のF.Thackeray博士を招聘し、同館所蔵の初期人類の臼歯化石について、自然断面上でのエナメル質厚さ記録と、マイクロCT撮影を行った(10月)。 ・エチオピア国立博物館のB.Asfaw博士を招聘し、上記標本をマイクロCT撮影した(10月)。 ・スペイン・クルサフォンテ博物館にて、ドリオピテクス化石について、基本的な計測・観察およびマイクロウェアの印象を採取したほか、S.Moya Sola博士とマイクロCT調査について打ち合わせた(12月)。 ・ベルギー・王立中央アフリカ博物館にて、チンパンジーの咀嚼器構造の調査を行った(12月)。 ・中国・古脊椎動物古人類学研究所にて、ギガントピテクス・オランウータン・原人標本を調査した。また、W.Liu博士らと今後の共同研究について打ち合わせた(1月)。 ・スイス・バーゼル自然史博物館にて、オレオピテクス標本の調査を行った(3月)。 調査の過程で、化石標本においては保存状態がCT撮影による歯冠全体の形状解析には必ずしも適さないことも多く、保存良好な標本の三次元的解析を進める一方で、そうでない標本についてもエナメル質分布を適切に評価する必要性が認識された。そこで、現代人大臼歯の三次元CTデータを利用し、断面上でのエナメル質厚さの評価方法を再検討した。その結果、歯冠側面壁での最大厚さが最もよい指標であることなど、断面上でのエナメル質厚さ評価の指針が得られた。
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