2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系に病原性を示すトリレトロウイルスの分子系統進化
Project/Area Number |
16405033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落合 謙爾 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (80214162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90250498)
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Keywords | トリ / グリオーマ / 中枢神経系腫瘍 / 分子系統進化 / レトロウイルス / トリ白血病ウイルス |
Research Abstract |
「トリのグリオーマso-called fowl glioma」はその原因と病態が不明であった疾患である。申請者は本疾患の国内初発例を発見し,本疾患がA型トリ白血病ウイルス(ALV-A)感染症であることを明らかにした。本研究課題の目的はトリのグリオーマ原因ウイルス(FGV)のゲノム系統進化と本ウイルス出現の経緯を解明することである。今年度は日本およびインドネシアの在来鶏からALVを分離収集しこれらの解析を行った。1)Nested PCR,RT-nested PCRおよびELISAにより富山県A動物園では39.7%の日本鶏がFGVに感染していることが明らかになった。さらに,A動物園より日本鶏の分与を受けたことのある北海道B動物園,東京都C動物園,東京都D動物園の日本鶏群の感染率は各々64.4%(73羽中47羽),44.4%(36羽中16羽),12.5%(24羽中3羽)であった。また,感染鶏より分離した5株のALVのenvおよび3'UTR領域のシークエンスを解析し,envに基づく系統樹を作製した。分離株5株の3'UTR領域はFGVのそれと高い相同性を示し,系統樹ではFGVのカテゴリーに属していた。一方,これら分離ウイルスのenv領域にはゲノムの変異が高頻度に生じていた。以上から,FGVあるいはFGV変異株が国内の日本鶏に蔓延していることが示唆された。2)インドネシアの在来鶏は日本鶏の祖先であるセキショクヤケイに近い系統である。したがってFGVの系統進化を調べるにはインドネシアの在来種由来ALVとの比較解析が必要となる。そこで,この国の在来鶏の羽髄を材料にPCRと剖検により感染個体を摘発した。これまでのところインドネシアのALVにはFGVに近縁なものは認められない。また,この国の肉用鶏には原因不明の腺胃炎が発生していることがわかった。
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