2007 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系に病原性を示すトリレトロウイルスの分子系統進化
Project/Area Number |
16405033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落合 謙爾 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (80214162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (90250498)
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Keywords | トリ / グリオーマ / 中枢神経系腫瘍 / 分子系統進化 / レトロウイルス / トリ白血病ウイルス |
Research Abstract |
研究代表者らは「トリのグリオーマso-called fowl glioma」の国内初発例を発見し,本疾患がA型トリ白血病ウイルス(ALV-A)感染症であることを明らかにした。本研究課題の目的はトリのグリオーマ原因ウイルス(FGV)のゲノム系統進化と本ウイルス出現の経緯を明らかにすることである。今年度は国内のセキショクヤケイとインドネシアの在来鶏の検索を行った後,これまでの成績を総括した。国内初発例が富山産であることから,研究期間にこの初発例と血縁関係のある日本鶏129羽ならびに血縁関係のない国内外7ケ所(インドネシア,フィリピン,韓国および日本)の在来鶏または日本鶏264羽を検索した。血縁を持つ3カ所の鶏計129羽のFGV感染率を動物施設別に見ると26〜56%であった。分離されたウイルス14株の3'UTR内PCR検出領域の塩基配列がFGVの同領域と92〜93%相同であったことから,分離株はFGVと近縁であることがわかった。これら成績は国内にFGV変異株が蔓延していることを示している。一方,血縁関係のない鶏264羽のうち海外の鶏9羽を含む29羽がNested PCR陽性となり,PCR検出領域の塩基配列はFGVと97%相同であった。国内の鶏6羽からはFGVまたはその変異株が分離された。以上の成績から,FGVは国内初発例の生産地富山の鶏と血縁のない国内外の鶏にも感染していることが明らかとなり,FGVは富山で出現したのではなく,他の地域で出現し,その後FGV感染鶏が富山に持ち込まれ繁殖に利用されたと推察された。一方,昨年度採卵鶏のグリオーマと皮下腫瘍併発例から分離されたALV(TymS_90株)のゲノムの大部分は内因性レトロウイルスのev-locusにより構成されていることが明らかとなり,FGV以外にもグリオーマを誘発するリコンビナントALVが存在することが推察された。
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Research Products
(5 results)