2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミャンマー国に於ける環境毒性物質としての鉄による肝癌発症若年化に関する調査研究
Project/Area Number |
16406005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小路 武彦 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30170179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱川 善隆 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60304276)
江島 邦彰 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (30309984)
和泉 伸一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40264246)
白鳥 康史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70196624)
岡田 茂 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20033201)
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Keywords | ミャンマー / 肝癌 / 鉄 / 鉄反応エレメント結合蛋白 / 肝炎ウイルス / アポトーシス / Fas / Fasリガンド / 分子組織細胞化学 |
Research Abstract |
ミャンマー国では、肝癌の発症は30代前半から見られ、低年齢での肝癌死亡例が多数経験されている。この原因の一つとしてミャンマー国土に高濃度で含まれる鉄の過剰摂取の関与が指摘されている。そこで本研究では、ミャンマー国立医学研究所(DMR)との共同研究として肝癌患者より剖検肝標本を収集し、特にHCV陽性例に注目して肝に於ける鉄沈着と肝細胞の増殖及び死の動態とを鉄過剰摂取ラット実験モデルでの結果も踏まえ分子組織細胞化学的に解析することを目的とした。本年度は、DMRのDr.Ne Winとの密接な連絡のもとに平成16年12月23日から12月28日にかけてヤンゴン市に滞在し、1)核内転写因子の免疫組織化学的解析法に関する実習会を、DMR内外から39名もの医師・医学研究者の参加のもと成功裏に開催した。2)今回はHCV陽性例を中心として肝癌試料の採集(12検体)を行ない、以前と同様のHCV陽性収集試料を併せて26例となった。3)ベルリン青染色により、今回の検体に於いても癌部に於いて日本人検体と比較して明らかな鉄の過剰沈着が見い出された。4)ミャンマー検体に於いてはリンパ球などの肝組織への浸潤程度が低く、またHCV陽性肝細胞集団では高いTUNEL陽性率とFas並びにFasL発現との一致が認められ、HCV陰性細胞では逆に高いKi-67陽性率を示した。5)鉄過剰摂取ラットモデルにて観察された、部分肝切除に伴う肝再生過程でのDNA合成のピークの早期化には、鉄による酸化ストレスによる可能性が示唆された。更に、今回の訪問で保健大臣との会見も含め、DMR幹部との意見交換を行い今後の共同研究の展開に関する積極的な支援体制の強化を図る点で合意した。
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Research Products
(7 results)