2005 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ放射能汚染地域に棲息する生物の体内核種動態と遺伝子損傷
Project/Area Number |
16406019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 裕夫 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20237275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本行 忠志 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90271569)
斎藤 直 大阪大学, ラジオアイソトープ総合センター, 教授 (50153812)
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Keywords | チェルノブイリ原発事故 / 内部被爆 / 生物濃縮 / 低線量放射線測定 / 遺伝子損傷 / 食物連鎖 / 低線量率放射線被爆 / 放射能汚染 |
Research Abstract |
非汚染地区(ミンスク郊外)、60Kmゾーン内(立ち入り規制汚染地域)の低濃度汚染地区(バブチン村)および高濃度汚染地区(マサニ村)でサンプルの採集を行った。採集した試料は、ネズミ(3種)、モグラ(1種)、カエル(2種)、昆虫(バッタ、トンボ、甲虫類)、葉(2種)、木(2種)、小果実(2種)および土で、それぞれの汚染地区でそれぞれの種につき3個体以上採取した。そして、井戸型ゲルマニウム半導体検出器にて、セシウム137のβ壊変により生成するバリウム137mのγ線スペクトル(0.66MeV)の崩壊数を3000秒間(線量の低いものについては更にその10倍以上の時間で)測定し、試料のグラムあたりのBq(ベクレル)算出を行った。 その結果、依然として低濃度汚染地区に比して高濃度汚染地区の採取試料の方が8倍以上高いセシウム137含量を示し、20年近く経た今日でも低濃度と高濃度汚染地区間での汚染の平均化は起こっていないことがわかった。また、前回1997年の我々の測定値と今回の測定値を比較すると、同種試料間において、約8年の間に有意なセシウム137含量の減少が確認された。カエルの肝臓を例にとると、1997年の高濃度、低濃度汚染地区ではそれぞれ、26.1、3.5Bq/gであったのに対して、2005年では0.5、0.04Bq/gとおよそ50分の1になっていた。不撹乱土壌におけるセシウム137の浄化半減期が24年とされているが、実際はもっと短い可能性が示唆された。 新しく開発した、H2AXヒストン蛋白のリン酸化(γH2AX)を蛍光抗体で検出する二本鎖DNA切断端検出法を3地域のマウス固定臓器で試みた。しかしながら、DNA障害量の差異をフォーカスシグナルの発現量で検出することはできなかった。今後、これが検出レベル以下の線量であったためなのか、固定臓器の状態によるものなのかの精査が必要と考えられる。
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Research Products
(3 results)