2006 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト地域におけるビルハルツ住血吸虫感染による膀胱癌発生機序の分子病理学的解明
Project/Area Number |
16406021
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鰐渕 英機 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90220970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
魏 民 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (70336783)
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Keywords | エジプト地域 / ビルハルツ住血吸虫感染 / 膀胱癌 / 慢性炎症 / 酸化的DNA傷害 / 酸化的ストレス / iNOS / 扁平上皮癌 |
Research Abstract |
本研究では、エジプト地域における膀胱癌に対して、ビルハルツ住血吸虫感染のある膀胱癌の組織学的な特色および発生機序について、非感染の膀胱癌と比較し、病理学的ならびに分子生物学的に明らかにすることを目的とした。特に、感染に伴う慢性炎症と膀胱癌の関係について、一酸化窒素(NO)を含むフリーラジカル発生との関連を明らかにし、ビルハルツ住血吸虫感染膀胱癌の発生機序を解明する。26症例のエジプト人の膀胱癌組織を病理組織学的及び免疫組織学的に解析した。14例はビルハルツ住血吸虫感染のある扁平上皮癌、6例はビルハルツ住血吸虫感染のある移行上皮癌、6例はビルハルツ住血吸虫感染のない移行上皮癌であった。免疫染色に用いた抗体は8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)、8-Oxo-G DNA glycosylase(OGG1)、Reduction-oxidation[redox]factor 1(Ref-1)、Single strand DNA(ssDNA)、Endothelial nitric oxide synthases(eNOS)、Inducible nitric oxide synthases(iNOS)に対する抗体である。酸化的DNA傷害のマーカーである8-OHdGの染色性はビルハルツ住血吸虫症由来の扁平上皮癌と移行上皮癌TCCで、非由来のTCCに比べ有意に増加していた。酸化的ストレスのマーカーであるiNOS、DNA傷害のマーカーであるssDNA、およびDNA修復酵素遺伝子のOGG1、APE-1の過剰発現を伴っていた。以上から、ビルハルツ住血吸虫症感染に伴う膀胱癌では、酸化的ストレスに伴う持続的な酸化的DNA傷害とそれに伴うDNA修復酵素の過剰発現などが関与して発生している可能性が示唆された。
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