2005 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク上の分散的な資源管理手法に関する理論的研究
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16500013
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 聡 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40228995)
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Keywords | 動的ネットワーク / センサーネットワーク / 輻輳制御問題 / 加入制御問題 / 通信の品質保証 / モバイルエージェント |
Research Abstract |
本年度の成果は以下の通りである。ネットワーク上に分散する通信資源を効果的に利用するためには、それらの資源をそれぞれの通信フローに対して公平に割り当てることが重要であるとの認識から、フローの加入制御問題と輻輳制御問題とに着目して研究を行った。 通信品質(QoS)の保証されたネットワーク上への加入制御は、通常、新しいフローを受け入れた場合に既存のフローの性能がどのくらい悪化するかを適切なモデルの下で予測し、その予測結果に基づいて加入の可否が適宜判断される。しかし、ネットワークの大規模化や通信メディアの多様化に伴って、通信状態の不安定さに起因するパケットの損失要因が増加しており、パケット損失を考慮にいれた新しい加入制御方式の開発が急務である。本研究では、無線LANのもっとも一般的な規格の一つであるIEEE802.11で採用されているQoS保証方式に着目し、この方式上で各フローに対して通信品質を保証するような通信機会の割り当て方法の提案を行った。提案手法の基本アイデアは、各フローの遅延要求から算出される通信インターバルをそれぞれのフローごとに個別に設定し、そのような制約のもとで、各フローの求める送信レートを満たすような通信機会の割り当てを行うことである。提案手法の効果はシミュレーションにより評価され、既存手法に比べて大幅な転送効率の向上が実現できることがあきらかになった。 輻輳制御に関しては、マイノリティゲーム(MG)と呼ばれるゲーム理論に基づいた選択的な転送速度の減少を実現する新しいプロトコルの提案と評価を行った。具体的には提案手法では、輻輳が発生したときに送信者間でゲームを行い、その勝敗によって勝者がより有利にパケット通信をおこなえるような転送速度の調節を行う。MGは複雑系などの分野で注目されているゲームのひとつであり、利己的に振舞う参加者間で協調的行動が発現するという特性をもつ.したがって輻輳制御にMGを利用することで、利己的に振舞う送信者間で協調的行動が発現し、コンテンツの種類に応じた効率的なパケット通信が実現されるのではないかと期待される。提案手法の効果はシミュレーションによって評価した。シミュレーションの結果、提案手法は、ランダムな選択や従来手法に比べて、公平で高効率な帯域の利用を可能にすることが明らかとなった。
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