2006 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク上の分散的な資源管理手法に関する理論的研究
Project/Area Number |
16500013
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤田 聡 広島大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40228995)
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Keywords | 動的ネットワーク / 輻輳制御問題 / 加入制御問題 / センサーネットワーク / モバイルエージェント / 通信の品質保証問題 |
Research Abstract |
これまでの2年間、ネットワーク上に分散する通信資源の効果的な利用法を探るという観点から、通信フローの加入制御問題と輻輳制御問題とに着目して研究を行ってきたが、本年度はその研究をさらに発展させ、いくつかの新しい結果を得ることができた。 通信品質(QoS)の保証されたネットワーク上への加入制御は、新しいフローを受け入れた場合に既存のフローの性能がどのくらい悪化するかを適切なモデルの下で予測し、その予測結果に基づいて加入の可否が適宜判断することによって実現される。しかし、ネットワークの大規模化や通信メディアの多様化に伴って、通信状態の不安定さに起因するパケットの損失要因が増加しており、パケット損失を考慮にいれた新しい加入制御方式の開発が急務である。本研究では、無線LANのもっとも一般的な規格の一つであるlEEE802.11で採用されているQoS保証方式に着目し、この方式上で各フローに対して通信品質を保証するような通信機会の割り当て方法の提案を行っている。本年度は、昨年度提案した割り当て手法の実証的な評価を進め、割り当て手法の改善による転送効率向上の効果について、さまざまな状況を想定した定量的な検証を網羅的に行った。研究結果は12月に開催された国際会議で発表し、聴衆からの高い関心を集めている。 一方の輻輳制御に関しては、マイノリティゲーム(MG)と呼ばれるゲーム理論に基づいた選択的な転送速度の減少を実現する新しいプロトコルの提案と評価を行ってきた。MGは複雑系などの分野で注目されているゲームのひとつであり、利己的に振舞う参加者間で協調的行動が発現するという特性をもつ。したがって輻輳制御にMGを利用することで、利己的に振舞う送信者間で協調的行動が発現し、コンテンツの種類に応じた効率的なパケット通信が実現されるのではないかと期待されている。今年度は、昨年度提案した輻輳制御方式の性能を具体的な状況の下で実証的に評価した。また、エンド・ツー・エンドでの輻輳制御に加えて、アクティブキュー管理手法も併用することで、さらなる性能の向上が実現できることもあきらかにした。その目的にために、本研究では、通常よりも早い応答時間をもったキュー管理手法を提案している。
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Research Products
(6 results)