2004 Fiscal Year Annual Research Report
具現化された進化に基づく群ロボットにおける社会性の創発
Project/Area Number |
16500125
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有田 隆也 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (40202759)
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Keywords | 具現化進化 / 遺伝的アルゴリズム / 群ロボット / 進化心理学 / 誤認 / 人工生命 |
Research Abstract |
本年度の第一の成果は,具現化進化の実験環境(=ホスト計算機なしに複数のロボットが遺伝子情報を交換しながらロボット行動を進化させていく手法を様々なタスクに関して実験できるシステム)を実現する進化計算手法を確立し,群ロボットを用いた具現化進化の実験環境を構築したことである.各ロボット(Khepera)内部に「遺伝子プール」と「遺伝子キュー」を持ち,遺伝子プールには進化させている遺伝子集団がある.ルーレット選択によりここから2個体が選び出され交叉と突然変異により新個体が生成され遺伝子キューに入れられる.遺伝子キューには,他ロボットと遭遇する際に他ロボットから送信された優良個体も同様に格納されており評価を待つ.具現化進化のプロトタイプ実験環境において,すれ違いにおける「譲り合い行動」を対象とし,その発現を確認した. 第二の成果は,人間の社会性の典型例として,感情,及び誤認に関して,ロボットを想定した構成的アプローチにより進化的基盤を明らかにしたことである.感情に関しては,デルナーの感情理論をロボット行動に適用したモデルを作成した.アクチュエータの動作内容は行動生成機構に従うが,その制御方法に影響を及ぼすのが感情であり,典型的な影響の及ぼし方がそれぞれの感情であるとする.そして,感情モジュレータ説に基づくロボット行動モデルに関して,進化シミュレーションを行い,環境の変化に対応して,典型的な感情パターンが適応進化の結果として発現することを確認した.一方,誤認に関しては,認知における不正確性の進化的基盤を理解するため,資源探索問題でロボットが情報を獲得する際の誤りやすさを進化させる計算機実験を行った.その結果,基本的に集団としての最適点の近くに進化するが,資源の偏りが集団レベルの適応性と個体レベルの適応性の差を生み,誤認度の低い方向へ進化する傾向が示された.
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Research Products
(2 results)