2005 Fiscal Year Annual Research Report
時計遺伝子サーカディアン・リズムの数理モデル構築と分岐解析
Project/Area Number |
16500132
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉永 哲哉 徳島大学, 医学部, 教授 (40220694)
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Keywords | サーカディアンリズム / 時計遺伝子 / 数理モデル / 非線形力学系理論 / 分岐理論 / ニューロンモデル |
Research Abstract |
生物時計の発生機構解明を目的として,時計振動体遺伝子のフィードバック機構に基づく数理モデルが遺伝子学的手法により提案されている.本研究では,時計遺伝子モデルを分岐理論に基づいて解析し,生体リズムの発現に対する本質的機構の深い理解を目指す. 今年度の研究実績の概要は次の通り. 1.周期的矩形波が印加された一般的な非自律系にみられる分岐現象の解析手法を提案した.これは,従来の他の先行研究のような近似手法を使わずに直接に分岐集合を得ることが可能となる利点がある. 2.時計遺伝子によるタンパク質の合成・分解のサイクルをモデル化した常微分方程式系の解析を行った.Leloup, Goldbeter等が示したショウジョウバエの時計遺伝子モデルへ上述の提案手法を適用して解析を行なった.明暗サイクルの影響のない場合においては,振動の二重安定性やカオス振動応答の発生機構を解明した. 3.明暗サイクルとして矩形波列と正弦波の2種類の周期的外力を注入した時計遺伝子モデル系を対象とし,解析により,明暗サイクルに引き込まれるパラメータ領域や,2つの系にみられる振動現象の性質の違いが明らかとなった.概日システムへ与える光の効果がアカパンカビとショウジョウバエに対して異なる可能性を示唆する新しい結果が得られた.すなわち,アカパンカビや哺乳類の概日システムにおいて,光は遺伝子の転写を促進する効果があるが,ショウジョウバエにおいてはタンパク質の分解を促進する効果をもつことが数理的に例証された. 以上の通り,申請時において設定した今年度の目標を達成させることができた. 成果の一部を国際ジャーナルや国際会議等で発表した.
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Research Products
(6 results)