Research Abstract |
本研究では,使いやすいペンの開発を行うことを目的とする。筆圧を汎用的に計測できるシステムを開発し,筋電図による疲労の評価法として,僧帽筋を対象とした筋電図の振幅,周波数特性,時間-周波数特性,手首と肘の角度などのバイオメカニックス的な指標の関連も十分に考慮した実験を行う。さらには,ペン形状のみではなく,ペンの芯の太さ,年齢差などを考慮に入れた評価法を確立し,使いやすいペンの設計手法を確立することを最終目標とする。 まず,筆記時の筆圧データを収集し,筆圧の強弱に応じて被験者の分類を行うために,フォースプレートの原理を応用して,筆記時の筆圧を汎用的に測ることができるシステムを製作した。 セーラー万年筆との共同,さらには広島市工業技術センターの協力を得て,ペンのプロトタイプを製作した。協力者の助言をえながら,芯の太さを3条件,ペン先長を3条件,グリップ径を3条件ほど,慎重に選定し,プロトタイプを作り上げた。 筋電図による筆記時の筋への負担や疲労の評価法を,これまでの研究成果を有効利用しながら確立した。また,ペンの使いやすさに関する感性(心理)評価手法を,統計処理手法に基づいて開発した。 開発したプロトタイプに対して,芯の太さ,グリップ径,ペン先長,作業時間(短時間,長時間)および筆圧条件を実験要因として,筆記時の生理評価,感性(心理)評価を実施するための計画を策定し,4月以降に実験を遂行できる体制を整えた。 筆圧と同時に,筆記時の手首関節角度,肘関節角度のデータを収集し,筆記時の動作学的な特徴分類を行い,筆圧条件と筆記時の動作学的な特徴からこれらの被験者を分類できるようにする必要がある(これに関しては,4月以降の検討課題)。
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