2005 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク環境における図書館の存在意義と社会的機能の理論化
Project/Area Number |
16500156
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
戸田 愼一 東洋大学, 社会学部, 教授 (10183493)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 敏 東洋大学, 社会学部, 教授 (80232891)
影浦 峡 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (00211152)
|
Keywords | 図書館 / 印刷メディア / ネットワーク・メディア / 数理モデル |
Research Abstract |
本年度は前年度の成果を踏まえ、基本的に当初の研究予定に従って、(1)印刷メディアと近代図書館の存立要件に関する研究、(2)既存の印刷/非印刷メディアとネットワークメディアの関係の研究、および(3)非印刷メディアの出現と図書館の変容の研究を、有機的に関連づけながら進めた。 (1)については、関連文献の照査を行い、近代社会における図書館の本源的な社会的機能が、印刷本を媒介とした近代的主体の成立、維持、強化への寄与であることを論証した。そのために、図書館というメディアを前近代から近代への歴史的変容の中に巨視的に位置づけ、近代的主体の成立に寄与する客観的条件を初めて満たしたメディアが印刷本であったこと、近代図書館は近代的主体の理念を純粋に体現していることを示した(海野他『近代的主体の成立と図書・図書館による近代の存立』)。 これと同時に(2)について、ネットワーク環境における図書館を議論する前提として、印刷本とネットワークメディアをメディアとして比較対照することによって、現在においても、いまだ印刷本が近代的主体の成立、維持、強化に特権的に寄与していることを明らかにした。 (3)については、印刷メディアの相対的地位低下と、印刷メディアカ減立させた情報世界の形式の変容は区別すべきであるという認識に基づき、印刷メディアが成立させた情報世界についての探究を進めた。そのために、単一言語性の問題をめぐって興味深い状況にあるニュージーランドで調査を行った。この調査で、元来は文字を持たなかったマオリ民族の経済的・政治的地位の歴史的変遷、マオリ語とマオリ文化復興の現状、マオリ民族への英語識字教育の実態などを探査することにより、近代社会、国民国家において、印刷メディアが成立させた情報世界の形式が有している徹底した浸透力、強力な影響力を確認した。
|
Research Products
(2 results)