2004 Fiscal Year Annual Research Report
同時通訳における通訳遂行と身体動作の協調に関する研究
Project/Area Number |
16500165
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
古山 宣洋 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系, 助教授 (20333544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野邊 修一 青山学院大学, 文学部, 助教授 (50289112)
染谷 泰正 青山学院大学, 文学部, 助教授 (40348454)
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Keywords | 同時通訳 / 身振り / 協調 / 心理言語学 |
Research Abstract |
本研究は、同時通訳の遂行において、身振り、注視点の移動、息継ぎ、メモ使用等の身体動作が、同時通訳全体の遂行にどのように関わっているか、また、通訳された発話と身体動作の相互関係が、同時通訳技能の熟達化の過程でどのように変化していくかを明らかにすることを目的とする。同時通訳の遂行における身体動作の役割について発達的に記述する本研究には、以下のような学術的・社会的な成果と意義が期待される。(1)同時通訳における身体の役割を明らかにすることで、人間が達成した認知的及び言語的に極めて高度な技能とその熟達に関する理解と深められるという通訳学及び心理言語学での学問的な意義がある。(2)また、通訳研究者と心理言語学者の共同研究の新たな可能性を切り開くという学際的な意義がある。(3)さらに、同時通訳の技術やその育成方法の向上に身体性という観点から貢献することが見込まれる点で、通訳訓練・通訳教育のより一層の充実に繋がる。 本研究は、英語から日本語、日本語から英語への同時通訳を対象とし、他の言語間の通訳については参考程度にとどめる。また、申請者らは、長期的には同時通訳とともに、逐次通訳における身体の役割も検討していく予定であるが、今回の計画では同時通訳に焦点を絞ることとし、逐次通訳についてはやはり参考程度にとどめる。研究の初年度である今年度は、以下の作業を進めた。 (1)現在、同時通訳者のプロまたはセミプロレベルの通訳者と通訳訓練生による同時通訳の縦断的なビデオコーパスを構築する作業を開始した。 (2)(1)で収集したデータのトランスクリプションを作成し、その上で、身振りが生起している箇所については、身体動作の記述を分類し、コーディングする作業を進めているところである。 (3)補足的資料として、国際会議における、日本語-韓国語間のプロレベルの同時通訳のビデオデータを採録した。
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