2004 Fiscal Year Annual Research Report
Non-inferiority仮説検定問題における尤度比統計量の漸近的性質
Project/Area Number |
16500178
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高木 祥司 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (00231390)
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Keywords | non-inferiority / 指数分布 / タイプI打ち切り型データ / 尤度比統計量 / 条件付尤度 / 微分不可能な点 |
Research Abstract |
主に以下の2つのタイプの問題について研究を進めた。 (1)母集団が指数分布に従い、さらに、打ち切り型データの場合に、尤度比統計量がどのような漸近的挙動を示すかについて考察を行った。タイプI打ち切り型モデルにおいては、その打ち切り時間も確率変数となり、したがって、尤度比統計量の性質を調べることは非常に困難である。そこで、この研究では、条件付尤度という概念を用いることによって、扱う確率変数の数を減らすというアプローチで、この問題の解決をはかっている。現在のところ、その漸近分布が、自由度1のカイ2乗分布x用いた形で、1/2+1/2xと表現されるという結果を導くことはできた。この結果は、以前から知られている2項分布での結果と一致しており、non-inferiority仮説検定問題での基本的な原理になっているといえよう。しかし、まだ大きな問題として、正則条件の整備が残っている。それは、打ち切りに関する条件と密接に結びついており、実際的な状況に即した正則条件の確立を試みるという課題が残されている。 (2)Non-inferiority仮説は、それをより一般的な形で表現することによって、様々なタイプの仮説検定問題へと応用できる。ここでは、Non-inferiority仮説が、関数関係で表現できる場合を考え、その関数が微分不可能な点をもつ場合の尤度比統計量の漸近的性質を考察した。微分可能な点では、(1)で述べたような結果がでることは明らかである。そこで、微分不可能な点に注目した結果、その漸近的分布は、微分不可能な点での局所的な帰無仮説領域が、凸であるか、そうでないかによって、まったく異なる性質をもつことがわかった。この事実は、仮説が、積集合や和集合で表現される場合に応用が可能であると思われる。
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