2006 Fiscal Year Annual Research Report
Non-inferiority仮説検定問題における尤度比統計量の漸近的性質
Project/Area Number |
16500178
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高木 祥司 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教授 (00231390)
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Keywords | non-inferiority仮説 / 指数分布 / 尤度比統計量 / k-標本問題 / ワイブル分布 / パラメータ直交化変換 |
Research Abstract |
主に、以下の2つのタイプの問題について研究を進めた。 (1)前年度、打ち切り型指数モデルにおいて、2標本問題の場合に、non-inferiority仮説における尤度比統計量の漸近分布を求めた。本年度の研究では、non-inferiority仮説を含む一般的な片側仮説を考え、さらには、k-標本の場合を取り扱うことで、その結果を拡張した。このとき、帰無仮説はいくつかのnon-inferiority仮説の和集合で表現される。この帰無仮説の境界上の点での漸近分布が導かれた。その境界点がひとつの仮説によって構成されているときは、2標本問題と同じ漸近分布をもち、境界点が複数の仮説に共通の場合は、その個数や仮説の関数形、さらには、標本数比や打ち切り条件に依存した複雑な形の漸近分布となることがわかった。 (2)前年度の研究で、打ち切り型ワイブル分布の場合に、shapeパラメータγを局外母数とみなしたとき、θに関するnon-inferiority仮説検定問題で、尤度比統計量がどのような漸近的挙動を示すかについて考察した。その際、γの影響を取り除くため、パラメータ直交化変換を行った。それに引き続き、本年度の研究では、γもまた興味あるパラメータである場合、つまり、2つの母集団が共通のshapeパラメータγをもち、それぞれの尺度パラメータがθとλであるとき、(θ/λ)のγ乗に関するnon-inferiority仮説検定問題を検討した。この問題は3つのパラメータを含むので、パラメータ直交化変換に加え、パラメータ削減の方法を導入する必要がある。その解決策として、条件付尤度やPartial尤度の概念を利用することを考えた。結果としては、統計量の漸近分布では、完全にパラメータ削減をすることができなかった。ただし、その漸近分布を用いれば、ベイズ法やMCMC法を適用することで、ある程度精度の良い検定方式が構成できるのではないかと、少なからず期待を持っている。
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