2005 Fiscal Year Annual Research Report
新皮質のギャップ・ジャンクション結合抑制性背景場仮説
Project/Area Number |
16500188
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
藤井 宏 京都産業大学, 工学部, 教授 (90065839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10207384)
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Keywords | 抑制性背景場仮説 / ギャップ・ジャンクション結合介在細胞系 / 過渡的シンクロニー / 時空カオスの創発 / ミルナー・アトラクター / 動力学的"メモリー"像 / メモリーの動力学的パラダイム / インターミッテンシー |
Research Abstract |
本課題では新皮質ニューロンのI類ニューロン系特性を基礎に、抑制性介在細胞系、とりわけギャップジャンクション(GJ)結合された系のもつ集団動力学を数理的に研究する。 本研究において、すでにわれわれは次のことを示した。 1. I類ニューロンのサブクラスとしてI*類が理論的に存在し、そのGJ結合系は閾値下の膜電位および閾値上の活動電位において時空カオスをもつ。クラスI^*ニューロンは、遅く非活性化するカリウム電流チャンネル(I_<AD>)をもつ系に特徴的である。 2.以上のダイナミクスにおいて、過渡的にシンクロニー状態とその崩壊、あるいはカオス的状態の中にシンクロニー状態が間欠的に生じる遷移的動力学が特徴的である。 3.現実のin vivoの新皮質におけるLFPレベルにおける過渡的なシンクロニー(C.Gray 1991)は、符号化・情報統合において重要な役割を想定されている。これらのGJ結合抑制性背景場が錐体細胞系との相互作用を通じて、LFPの過渡的なシンクロニーを制御している可能性を提示した。 本研究では、抑制性背景場と錐体系との相互作用を通じて(複数の)ミルナー・アトラクタが脳内でのメモリーの動力学的な存在形態である可能性を提起し、系のもつアトラクタ構造を詳細に調べている。 すでに、上述のI^*類GJ結合系のもつカオス遷移的動力学は、古典的なアトラクタをもたずミルナー型の擬アトラクタが大域ダイナミクスを制御していることを数値的に予想した。最近の研究においてさらにa,in-out intermittency、b,on-off intermittency、c,crisis-induced intermittencyが異なるパラメータ領域において解構造に内在し、非常に複雑な〔非古典的〕アトラクタ構造が内在していることを確認した。以上の成果は、発表準備中である。
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